日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医 春名百合愛監修

こんにちは、戸越銀座レディースクリニックで勤務する助産師です。本日は授乳の方法の選択についてお話していきます。
最初に、私個人の思いではあるのですが、授乳について大切に思うことをお伝えさせてください。
これから出産される方、そして今現在授乳をされている方、皆さま希望の授乳方法があると思います。どうか、思い描く授乳方法にとらわれすぎないでください。
産後のママの体の回復や赤ちゃんの状態、環境によって適した授乳方法はその都度変化していきます。仕事への復帰があり保育園に預ける場合や、生後5~6か月からは離乳食が始まり、そうなるとまた、授乳方法が変化することもあるでしょう。妊娠中からイメージをして準備することはとても大切ですが、思い描いた通りにいかなくても、ママと赤ちゃんがすこやかに楽しく、のびのびと授乳できることが最善なのではないかと思います。
思った通りにいかないときも、「こんなはずじゃなかった!」ではなく「今の自分たちにはこの方法が合っているな、でもより楽しく授乳するためにがんばろうかな」と思えたら良いな、と思うのです。
授乳以外にも育児をしていると心配や悩みが尽きません。でも大変な中にも嬉しいこと、楽しいこと、幸せを感じることもたくさんあります。私たちもできるだけママの希望される授乳方法を行えるよう、ママと赤ちゃんが健やかに幸せに授乳できるよう、母乳外来や育児相談で精一杯サポートさせていただきます!
では、早速授乳についてお伝えしていきます。
母乳?ミルク?混合?授乳の方法
完全母乳
母乳のみで育てる授乳方法です。お産の後よりずっと母乳のみで育てている方もいらっしゃれば、分娩後、一時的に混合栄養から母乳の分泌が軌道に乗って完全母乳に移行する方もいらっしゃいます。
混合栄養
母乳とミルクと、どちらも使用する授乳方法です。混合栄養といっても方法はママ、パパの考え方や環境によりさまざまで、母乳をメインに夜だけミルクを足している方(夕方は母乳の分泌が少し減ります)、ミルクをメインに泣いてしまったときに母乳をあげている方と、いろいろな方法を取られている方がいらっしゃいます。
完全ミルク
ミルクのみで育てる授乳方法です。完全ミルクを選択される理由も様々です。育児環境やママに内服が必要な場合(母乳に移行する薬もあります)、感染症の種類によっては母乳に移行してしまうため、ミルクでの育児が必要な場合もあります。必要な場合は産後早期に内服薬を使用して母乳の分泌を止める方もいらっしゃいます。
母乳栄養・混合栄養・完全ミルクそれぞれのメリット・デメリット
母乳
【メリット】
- 母乳中のたんぱく質には免疫物質が含まれているため、感染症を予防できる。
- 母乳中の炭水化物(オリゴ糖等)によって赤ちゃんの腸内細菌叢の確立ができ、免疫機能が発達する
- 赤ちゃんの神経学的発達を促し、認知能力を高める(IQ向上)
- 子宮の戻りがよくなり、産後の体の回復が早くなる
- 準備する物品がなくいつでも授乳できる
- 赤ちゃんの栄養に関して経済的負担が少ない
- 赤ちゃんとの愛着形成が進む
- 卵巣がんや乳がんの発症が低下する
- SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが減る
【デメリット】
- 外出時に授乳室での授乳や授乳ケープが必要となる
- 初めは飲んでいる量が分かりにくい
- 乳房や乳頭のトラブルが生じ受診が必要となる可能性がある
- DMER(不快性射乳反射)が生じる可能性がある
- 母乳だけでは不足しがちな栄養がある(ビタミンD、鉄、ミルクより量は少ないが吸収はされやすいともいわれています。)
- ママの食事や内服に注意する必要がある
混合授乳
【メリット】
- 母乳分泌が少ない場合でも、母乳のメリットも受けつつ赤ちゃんの必要な量が補える
- 外出時はミルク、夜間はパパにミルクをあげてもらうなど、状況に応じて選択・分担ができる
- 災害時やママの体調不良の時等、状況に応じて選択できる
【デメリット】
- 赤ちゃんが乳頭混乱になることがある
- 母乳とミルクの準備で時間がかかる
- ミルク量の調整が難しいときがある
- 乳房や乳頭のトラブルが生じ受診する必要が出てくる可能性がある
ミルク
【メリット】
- ママ以外の人があげられるので、パパや周りのご家族の育児参加がしやすくなる
- 物品の準備をしていれば外出先でもどこでも授乳ができる
- 液体ミルクも販売されているため、準備も今までより少なく済む
- 母乳に含まれていないビタミンDや鉄分が含まれる
- 乳房や乳頭トラブルが生じない
- 赤ちゃんがどれくらい飲んでいるかわかりやすい
【デメリット】
- 費用がかかる
- 準備や片づけに時間がかかる
- 免疫成分などミルクには含まれていない成分がある
- 便秘になりやすい
- 必要量以上に飲みすぎてしまい、体重が増えすぎる・嘔吐が増えることがある
どんな準備が必要?必要な物品と外出時の対応
母乳

妊娠中に準備しておかなければならないものは特にありませんが、必要であれば授乳クッションを用意しておくのもよいでしょう。
外出先では授乳室か、または授乳用ケープを使用すれば授乳室でなくともいつでも授乳は可能です。外出先には授乳クッションがないことが多いので、日ごろ授乳クッションを使用されている方はおくるみやカバンをクッション代わりにするほか、抱っこの仕方を工夫して授乳されています。
混合授乳の場合は、状況によって外出時はミルクとする方もいらっしゃいますが、長く授乳間隔があくことで乳房トラブルの可能性も高まるため注意が必要です。
日ごろ母乳をあげている方が外出等で授乳間隔が空くときには、外出先で搾乳などセルフケアを行い、乳房トラブルの予防ができると良いですね。
ミルク
妊娠中や出産後退院するまでに、哺乳瓶・乳首・ミルク(粉・液体)・哺乳瓶類の消毒物品(洗剤や液体消毒剤、電子レンジで消毒できるものもありますし、煮沸消毒も可能です)が必要となります。哺乳瓶や乳首にもいろいろと種類があるため、選び方を迷うときにはご相談くださいね。
外出時には、ミルク用のお湯(※70度以上)、湯冷まし、粉ミルク、哺乳瓶の準備を行っておくと、どこでも授乳は可能です。また、施設によってはミルク調乳用の機械があることも。最近は液体ミルクも販売されているため、液体ミルクと乳首をもっていればすぐにあげることができます。
※粉ミルクを調乳するときは、サカザキ菌を殺菌するために必ず70度以上のお湯で溶かすようにし、調乳後のミルクは2時間以内に飲ませましょう。

赤ちゃんが育っていくために必要な「授乳」ですが、調べていくと世の中には様々な情報があります。自分たちにはどのような方法が適しているか悩まれることもあるかと思います。このコラムが一助になれば幸いです。
産後、授乳について・育児について、悩んだ時にはいつでも助産師外来(母乳外来や育児相談)へお越しくださいね。また、妊娠中の方は保健相談でいつでもご相談ください。
次回以降も、母乳についてや赤ちゃんとの生活、乳房・乳頭のトラブルへについてをお伝えしていきます。
最終更新:2026/2/5
戸越銀座レディースクリニックについて診療案内
戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
この産婦人科コラムを書いた人
戸越銀座レディースクリニック 助産師主任玉置 愛加
経歴
- 東京都立大学健康福祉学部看護学科、助産学専攻科卒業
- 都内地域周産期センター産科・NICU勤務
資格
- 看護師
- 助産師
- ベビーマッサージ指導

メッセージ
私は助産学専攻科を卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや産婦さん、お母さんと赤ちゃんのケアに携わってまいりました。
また、NICU・GCU病棟での経験もあり、小さく生まれた赤ちゃんや疾患を抱える赤ちゃんのケアも行ってきました。
前職場の助産師外来では妊婦健診を担当し、産後健診ではお母さんのお話をたくさん聞かせていただきました。その経験を当クリニックの助産師外来でも生かせるよう、妊娠期やお産、産後を心も体も健やかに過ごせるよう、微力ながらサポートさせていただけたらと思います。
また、婦人科においては、安心して診察を受けていただけるように診察のサポートを努めさせていただきます。
どのようなライフステージにおいても「しんどいな、大変だな」と感じるときには、言葉にするだけでも心が軽くなることがあります。クリニックでいつでもお待ちしておりますので、ぜひお声掛けください。
戸越銀座レディースクリニックについて
品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。
〒142-0041
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