知っておきたい赤ちゃんの個性:「授乳はオーダーメイド」

知っておきたい赤ちゃんの個性:「授乳はオーダーメイド」

日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医 春名百合愛監修

教科書通りいかなくて当たり前

「授乳」と聞くと、赤ちゃんが静かにおっぱいを飲み、満足して眠りにつく…そんな穏やかなシーンを想像するかもしれません。しかし、現実はどうでしょう。勢いよく飲みすぎてむせてしまったり、なかなか吸い付いてくれずに泣き叫んだり、かと思えば飲んでいる途中で寝てしまったり。「私の飲ませ方が悪いの?」「母乳が足りてないのかな?」と不安になるお母さんも少なくありません。

でも、安心してください。実は、赤ちゃんには生まれたときから「飲み方の個性」があるのです。
私たち助産師は、毎日たくさんの赤ちゃんとお母さんをみてきましたが、100人いれば100通りの飲み方があると思っています。育児書などにある「3時間おきに左右10分ずつ」というのは、あくまで一つの目安に過ぎません。

大切なのは、目の前の我が子がどんな「飲み方タイプ」なのかを知り、その子に合ったペースを見つけること。今回は、助産師の視点から、代表的な5つのパターンとそれぞれの対策についてお話します。


授乳パターンかたみた飲ませ方の対策

赤ちゃんの性格やその時の気分によって、授乳スタイルは大きく変わります。あなたの赤ちゃんはどのタイプに近いでしょうか?


エネルギー前回の全力投球派がぶ飲みタイプ

「おなかが空いた!」と思ったら、迷わず全力で食らいつく元気いっぱいのタイプです。

<特徴>
吸う力が強く、ゴクゴクと音を立てて勢いよく飲みます。満足するのも早いですが、空気を一緒に飲み込みやすいため、吐き戻しやガス溜まり(おなかの張り)が多いのもこのタイプの特徴です。

💡助産師からのアドバイス
お母さんの母乳の出が良い(射乳反射が強い)場合、勢いが良すぎて赤ちゃんがむせてしまうことがあります。そんな時は、授乳前に手絞りをする、授乳の途中でげっぷをするなどしてあげましょう。


こだわり強めの完璧主義派気難しいタイプ

おなかが空いているはずなのに、いざおっぱいを前にすると「これじゃない!」「うまく吸えない!」と怒って泣き出してしまう…。お母さんが一番「どうすればいいの?」と困惑してしまうタイプです。

<特徴>
眠すぎたり、お腹がすきすぎたりすると、パニックになって上手に吸い付けなくなります。一度スイッチが入ると、なだめるまでに時間がかかることも。

💡助産師からのアドバイス
このタイプの子には「おなかが空いて泣き叫んでから」あげるのは逆効果。「おっぱいを欲しがる早めのサイン」を見逃さないことがポイントです。口をもごもごさせたり、こぶしを口に持って行ったりし始めたら、きっとそれが合図です。泣き出す前に授乳を始めると、スムーズに吸い付いてくれることが多いです。
もしパニックになったら、一度授乳を中断して抱っこで落ち着かせ、リセットしてから再チャレンジしましょう。


マイペースな夢見心地派後回しタイプ

「寝る子は育つ」の言葉のまま、食欲よりも睡眠や心地よさを優先するタイプです。

<特徴>
起こしてもなかなか起きない、おっぱいを近づけても口を開けない、あるいは数口飲んで満足して寝てします。お母さんが「本当に足りているの?」と心配することが多いです。

💡助産師からのアドバイス
まずは、赤ちゃんとのスキンシップ(肌と肌のふれあい)を存分に楽しみましょう!「飲ませなきゃ」というプレッシャーを捨てて、カンガルーケアのように肌を合わせていると、赤ちゃんの飲む意欲が自然と湧いてくることがあります。
ただし、新生児の時期に4時間以上授乳間隔があいてしまう場合は、脱水や低血糖を防ぐためにも、優しく声をかけたり、オムツを変えたりして刺激を与え、起こして飲ませる工夫が必要です。


儀式を重んじるこだわり派グルメタイプ

すぐに飲み始めるのでは、まずはテイスティングのように口の中で楽しむ時間から入る風流なタイプです。

<特徴>
乳頭を舌で転がしたり、引っ張ってみたり、「今日のお味はどうかしら?」と確認するかのように舌鼓を打ちます。お母さんからすると「遊んでないで早く飲んでよ~」と思ってしまうかもしれません。

💡助産師からのアドバイス
これは赤ちゃんにとって、大切な「お食事前のコミュニケーション」です。焦って無理に吸わせようとするとかえって嫌がることがあるので、「今日は甘いかな?」「準備運動してるんだね」とそのやり取りを楽しんでみてください。
しばらく遊んでいるうちにスイッチが入って本格的に飲み始めます。お母さんの気持ちの余裕が、赤ちゃんに伝わってリラックスした授乳タイムになりますよ♪


休憩を愛するマイペース派のんびりやタイプ

「飲む」ことと「休む」ことがセットになっている、癒し系タイプです。

<特徴>
5分くらい集中して飲んだかと思うと、満足げに休憩。寝たのかな?と思っておっぱいを外そうとすると、慌ててまた吸い始める…というサイクルを繰り返します。授乳が1時間を超えてしまうことも珍しくありません。

💡助産師からのアドバイス
お母さんはずっと同じ姿勢でいなければならず、体が疲れてしまいますよね。もし時間が許すなら、お母さんも赤ちゃん以上の「のんびりや」になってみませんか?テレビを見たり、好きな音楽を聴いたりしながら、ゆったりとした気持ちで付き合ってあげましょう。もし、お母さんが疲れたときは「今日はここまでね」と切り上げても大丈夫。
赤ちゃんの体重が順調に増えていれば、その子なりの「小分け食べ」スタイルなのだと割り切ってOKです。



おっぱいタイムに正解はありません

5つのタイプをご紹介しましたが、お子さんに当てはまるものはありましたか?もちろん、これらが組み合わさっていたり、日によってタイプが変わったりすることもあります。
皆さんに一番伝えたいのは、「教科書通りの飲み方」ができていなくても、その子なりに育っていれば100点満点だということです。授乳は、単に栄養を送るだけの作業ではありません。お母さんの匂い、温かさ、心臓の音を感じながら、赤ちゃんが「この世界は安心できる場所なんだ」と学ぶ大切な心の栄養補給の時間でもあります。

  • たくさん飲む日もあれば、そうでない日もある
  • 上手に吸える時もあれば、怒るときもある

そんな試行錯誤の毎日が、たった一つしかない家族の形を作り、思い出すころになると素敵な思い出になっていることでしょう。
もし、「どうしてもうまくいかない」「体重が増えているか心配」「胸が痛い」「体も心も疲れちゃった」など、困ったことがあれば、いつでも私たち助産師を頼ってください。
私たちは、お母さんが自分らしく、そして赤ちゃんがその子らしく成長できるよう、全力でサポートします。当院でも、育児相談や母乳相談で授乳姿勢の確認や体重確認ができますよ。悩んだときは是非お越しください。

最終更新:2026/2/18




戸越銀座レディースクリニック診療案内

戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師久富 桜

経歴

  • 福岡水巻看護助産専門学校卒業
  • 総合周産期医療センター産婦人科病棟勤務
  • BFH認定産婦人科クリニック勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師
  • トコちゃんベルト着用指導士
  • 妊産婦食アドバイザー
  • 離乳食アドバイザー

メッセージ

赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital:BFH)にて勤務し、産後の母乳育児をはじめ、ご家族に寄り添ったサポートを行ってまいりました。
妊娠からお産までのはもちろん、退院後のご自宅に戻られてからの不安や悩みに向き合い、ママとパパが安心して育児に向き合えるようお手伝いしたいと思っています。母乳栄養・混合栄養など授乳方法についてのお悩みはお任せください!
一生懸命子育てをされるご家族と赤ちゃんに寄り添い、安心できる存在でいられるよう努めてまいります。

戸越銀座レディースクリニックについて

品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
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時間/曜日
9:15-13:00⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
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※祝祭日は休診となります。



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