お股の違和感…それ、「子宮下垂・子宮脱」かも

お股の違和感…それ、「子宮下垂・子宮脱」かも

日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医 春名百合愛監修

「最近、股の間に何かが挟まっている気がする」
「お風呂で体を洗う時に丸いものに触れる」
そんな違和感を覚えたことはありませんか?それは「子宮下垂(しきゅうかすい)」や「子宮脱(しきゅうだつ)」かもしれません。
「年齢のせいだから仕方ない」「恥ずかしくて相談しにくい」とあきらめてしまう方も多いですが、こうした悩みは、実は40代以上の女性の約10人に1人が経験していると言われているほど実は多くの女性が経験するポピュラーな病気です。
子宮脱は命にかかわる病気ではありませんが、放置すると歩行困難や排尿トラブルなど、日常生活に大きな支障をきたします。まずは正しく病気について知り、あなたに合った解決策を一緒に見つけていきましょう。


どんな病気?子宮脱・子宮下垂はどんな状態?

私たちの骨盤の底には、子宮・膀胱・直腸といった臓器を支える「骨盤底筋(こつばんていきん)」という筋肉のハンモックがあります。子宮下垂は、子宮が正常な位置よりも下がってしまう状態のことを指します。通常、子宮は骨盤内で支持靭帯や筋肉によって支えられ、安定した位置にありますが、何らかの原因でその支持が弱くなると、子宮が骨盤の下部に下がることがあります。この状態は、特に出産歴のある女性や年齢を重ねた女性に見られやすいです。

・子宮下垂
子宮が膣の中で下がっているが、外には出ていない状態

・子宮脱
子宮の一部、あるいは全部が膣の外に飛び出している状態

子宮だけでなく、膀胱が一緒に下がってくる(膀胱瘤)ことや、直腸が下がってくる(直腸脱)ことも多く、総称して骨盤臓器脱といい、それによって排尿・排便のトラブルが重なるのが特徴です。


子宮脱・子宮下垂 進行度別こんな症状に心当たりはありませんか?

ご自身の今の状態と照らし合わせてみてください。

【初期(軽)】
・夕方になると下腹部が主だるい、引っ張られる感じがする。
・長時間立った後に、股の間に「何かが挟まっている」感覚がある。

【中期(中等症)】
・お風呂で体を洗う時に、丸いピンポン玉のようなものに触れる。
・尿漏れがひどくなった、あるいは逆に尿がでにくい。

【後期(重症)】
・常に臓器が外に出ており、下着と擦れて出血したり痛みがある。
・手で押し込まないと尿が出ない、排便がスムーズにいかない。



なぜ起こる?骨盤底筋が関係?子宮を支える力の低下

主な原因は、骨盤底筋へのダメージと加齢による変化です。

・妊娠、出産による負荷
巨大児の出産や難産、多産などが原因となります。
・女性ホルモンの減少
閉経後、エストロゲンが減少すると組織の弾力性が失われます。
・腹圧のかかる生活
便秘によるいきみ、肥満、喘息などの慢性的な咳、重いものを持つ仕事などは進行を早めます。


受診を迷っている方へ当院での検査の流れ

「婦人科の診察は恥ずかしい」と感じるかもしれませんが、検査が短時間で終わる痛みの少ないものです。

問診

いつから症状があるか、排尿・排便トラブルはあるかなどをお伺いします。

視診・内診

内診台で、どの臓器がどれくらい下がっているかを確認します。おなかに力を入れたりし、最大でどの程度出てくるかを診ることもあります。

超音波検査

他の婦人科疾患が隠れていないかも確認します。


ライフスタイルに合わせた治療の選択肢

 患者様のご年齢や活動量、将来のご希望に合わせて最適な方法を提案します。

治療法内容・特徴メリット・デメリット
保存療法(体操)骨盤底筋体操で筋肉を鍛える副作用がない
重症例には不向き
ペッサリー療法膣内にリング状の器具を挿入手術なしで即座に症状が改善
数か月ごとの交換、洗浄が必要
手術療法下がった臓器を固定・修復する根本的な解決が可能
入院・手術による体への負担

よくあるご質問

放置するとどうなりますか?

自然に治ることは難しく、徐々に進行することが多いです。重症化すると膣壁が乾燥して炎症を起こしたり、尿管が圧迫されて腎臓に負担がかかるリスクもありあます。

運動しても大丈夫ですか?

激しい運動や重いものを持つことは症状を悪化させる可能性があります。まずは専門医の指導のもと、骨盤底筋トレーニングから始めることをおすすめします。

手術をしないと治りませんか?

初期であれば体操で改善が見込めますし、ペッサリーを使えば手術なしで快適に過ごされている方もたくさんいらっしゃいます。ご希望を最優先に考えますのでご安心ください。



子宮脱は、決してあなただけが悩んでいる特別な病気ではありません。
「年齢のせいだから」とあきらめず、まずは一歩、相談してみませんか?快適な内容を取り戻すために私たちがサポートいたします。

最終更新:2026/1/29




診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

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この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 院長・産婦人科専門医 母体・胎児専門医春名 百合愛(はるな ゆりあ)

経歴

  • 日本医科大学医学部卒業
  • 同大学女性診療科・産科入局後、大学病院・周産期センターにて勤務
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
  • 日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医

学会・資格

  • 日本周産期・新生児医学会 会員
  • 新生児蘇生法専門コース修了
  • 日本女性医学会 会員
  • 日本生殖医学会 会員

メッセージ

 私は医学部時代に自身が産まれた周産期センターで臨床実習をした際に、生命の誕生の奥深さに感動し、産婦人科医を志しました。大学病院入局後は、産婦人科学全般を学んで専門医を取得し、希望であった周産期分野に従事してまいりました。女性にとって妊娠・出産は大きなライフイベントであり、喜びとともに不安も尽きないと思います。その前後も含めたすべてのライフステージにおける女性が自分らしく健やかに生きるサポートをいたします。産婦人科というとなかなか受診のハードルが高いと感じる方もいらっしゃると思いますが、安心してご相談いただけるよう丁寧な診療を心がけますので、ぜひお気軽にお越しいただけましたら幸いです。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
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時間/曜日
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14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。

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