子宮筋腫はおおよそ3人に1人の女性にあると言われています。そのため子宮筋腫という言葉を聞いたことがある方も多くいるかもしれません。子宮筋腫とは何か、どんな時に医師の診察を受けた方がいいのか、治療はしたほうが良いのかなどに関して今回は説明をします。
そもそも子宮筋腫に関して
子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮内にできる良性の腫瘍のことです。子宮壁の筋肉層に生じる線維組織と平滑筋から構成されます。医学的に「良性」とは細胞の異常な増殖や成長がある程度限られていること、他の場所に移る転移がなく、周囲の組織や臓器および生命にまでは影響を及ぼさないことを言います。がんなどの進行性の病気では反対に「悪性」という言葉を使用します。このように子宮筋腫が子宮に存在するだけで、何ら影響や症状を伴わないことも多く診られます。
子宮筋腫の多くは女性ホルモンの影響により発育するため閉経前の女性に診られます。閉経後には逆に小さくなる傾向となります。そのため閉経後に見つかった場合には良性の子宮筋腫なのか悪性の他の病気(子宮肉腫など)であるのか見極めることがより重要となります。
子宮筋腫は通常は症状が無くたまたま婦人科検診などで見つかることがありますが、大きくなると不正性器出血、過多月経、月経不順、腹部膨満感、排尿障害、便秘などの症状を引き起こすことがあります。
さまざまな子宮筋腫の種類
子宮筋腫には図のようにできる場所によって3種類に分けられます。
・子宮の内側 = 粘膜下筋腫
・子宮の筋肉内 = 筋層内筋腫
・子宮の外側 =漿膜下筋腫
大きくなると子宮筋腫のそれぞれの種類に対して起きやすい症状
- 粘膜下筋腫:小さい場合でも生理量の増加・不正性器出血・不妊の原因となります。
- 筋層内筋腫:小さいものでは症状が現れません。大きくなると生理量の増加や不正性器出血、流産・早産のトラブルになることがあります。
- 漿膜下筋腫:大きくなるまで症状はあまり現れません。まれにねじれることによって痛みを生じることがあります。
もしも子宮筋腫を疑ったら
子宮筋腫かもしれない場合に病院を受診すべき目安
・生理の量が徐々に増えている。
・不正性器出血がある。
・腹痛がある。
・頻尿(トイレが近い)がある。
・妊娠しにくい。
・流産を繰り返している。
上記の症状がある場合は一度産婦人科医の診察を受けましょう。
子宮筋腫に対して行われる検査
可能な限り内診台において産婦人科医による診察と超音波検査を行います。超音波検査で良性・悪性の判別がつきづらい、大きさが把握できない場合や手術が検討されうる場合にはMRI検査を使用して画像検査を追加します。
検査の結果子宮筋腫と診断されたら
いわゆる経過観察子宮筋腫に対して定期検査を行っていく
現時点での治療が必要ないと判断された場合は、定期的に産婦人科での診察を受けます。大きさが急に大きくなっていないか、他に症状がないかを確認していきます。定期検査の頻度の目安はおおよそ半年から1年となります。
閉経後は自然に体内の女性ホルモンが低下するため子宮筋腫は小さくなる傾向にあります。そのため閉経後に大きくなる傾向がみられる場合には慎重は判断が求められます。
子宮筋腫の治療をする
子宮筋腫は無症状である場合は必ずしも治療する必要はありません。しかし、子宮筋腫による様々な症状が出現しており、治療が必要と判断された場合はまず保存的治療を行うのか外科的治療(手術)を行うかに分かれます。
保存的療法: 子宮筋腫の症状を軽減する目的で、薬を投与することで体内の女性ホルモンを一時的に下げ、生理の止める治療(偽閉経療法)をします。これらの薬物は子宮筋腫の成長を抑制し、生理量を減らす効果があります。副作用として更年期様症状、骨量(カルシウム)が減少するおそれがあるため、最大で6ヶ月までと使用期間に限度があります。薬物治療を中止した後は子宮筋腫は元の大きさに戻ることがほとんどです。そのため、これらの治療は閉経や手術までの一時的な治療で使用されることが多いです。そのほかにピルを使用して生理のコントロールを行う場合もあります。
外科的治療(手術): 子宮筋腫の大きさや症状が著しく、薬物療法が効果的でない場合や緊急を要する場合は手術が選択されることがあります。
子宮筋腫に対して外科的治療(手術)を行う場合の方法
手術では子宮を取ってしまう(子宮全摘術)のと筋腫だけ取る手術(筋腫核出術)があります。
将来子供がほしい人や子宮を残す希望の強い人では筋腫核出術をします。しかしこの場合は出血が多くなること、子宮筋腫の再発がありえることがデメリットとなります。また大きさや場所によっては小さい傷で行える腹腔鏡手術で難しいことがあります。
子宮筋腫が大きい、悪性の病気が疑われる、閉経後などでは子宮全摘出術を選択することがあります。条件がそろえば腹腔鏡手術で行えることがあります。
最適な治療方法は個人の症状や希望によって異なる場合があるため、医師との相談が子宮筋腫の治療においてとても重要となります。
まとめ
子宮筋腫は年齢・ご自身の考え方・状況によって個別に治療方法を選択していく必要があります。まずは産婦人科のかかりつけを見つけ普段から相談できるようにしましょう。当院でも子宮筋腫に対しての定期検査・治療を行っております。お困りの方はぜひご相談ください。
戸越銀座レディースクリニック診療案内
戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
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この婦人科コラムを書いた人
戸越銀座レディースクリニック 院長・産婦人科専門医里井 映利(さとい えり)
経歴
- 日本医科大学医学部卒業
- 日本医科大学付属病院 初期研修
- 周産期センター・総合病院 産婦人科 後期研修
- 総合病院 厚生中央病院 産婦人科 産婦人科常勤医師
- 複数企業にて嘱託産業医
学会・資格
- 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
- 日本女性医学会 女性ヘルスケア専門医・女性のヘルスケアアドバイザー
- 日本思春期学会 認定性教育講師
- 日本生殖医学会会員
- 日本周産期・新生児医学会 会員
- 日本女性心身医学会 会員
- 日本医師会認定産業医
メッセージ
私は主に目黒にある総合病院の産婦人科にて専門分野である女性医学を中心に周産期・婦人科腫瘍と幅広く学び、多くの患者様に接してきました。また私自身も、年齢の変化と共に起きる女性ならではの体の変化・症状に悩んできました。今まで培ってきたものを糧に思春期から更年期以降まで、患者様一人一人に適切な診療を提供できるかかりつけ医を目指していきたいと思います。女性のライフステージの変化に伴う些細なお悩みや変化に寄り添って、より快適な暮らしができるようお手伝いをいたします。地域の皆様にとって気兼ねなく相談できるようなクリニックづくりを目指してまいります。お気軽にご相談ください。どうぞよろしくお願い申し上げます。
戸越銀座レディースクリニックについて
品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。
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東京都品川区戸越3丁目1−2 地下1階
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