日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医 春名百合愛監修
妊娠中の旅行は、「マタ旅」と呼ばれたりします(マタニティー旅行の略)。診察室や保健相談の場でもよく「旅行に行っても大丈夫ですか?」と質問があります。助産師としても、ご夫婦の大切な時間はぜひ楽しんでいただきたいと思っています。
しかし、妊娠中の体は常に変化しており、昨日まで元気でも今日突然のトラブルが起きることも珍しくありません。今回は、ママとお腹の赤ちゃん小野安全を第一に考えた「マタ旅」のポイントについて、助産師の目線からお話できればと思います。
何が問題?旅行に行く前に一度相談しましょう
まず、知っておいて欲しいことが、妊娠中はいつ何が起きるかわからないということです。妊婦健診で問題なく順調でも、出血や腹痛などが突然起こり、早産となることなどもあります。旅行先で早産になると、赤ちゃんもママも治療が終わるまで何か月も帰れない可能性があります。
旅行は個人の自由ではありますが、長期間の旅行や海外に行く前には医師に相談しましょう。切迫早産や妊娠高血圧症候群、胎児発育不全など何らかの合併症がある場合は強く止めることがあります。
受診が必要になったときには母子手帳と検査結果が必要になりますので、常に携帯するようにしておきましょう。また、出産予定日と妊娠週数を自分で把握しておけるようにしておくことが大切です。

起こりうること
- 切迫流産・早産のリスク:自覚症状がない場合もあります
- 血栓症のリスク:長時間座りっぱなしの移動がリスクを高めます
- 急な体調変化:旅先で出血や腹痛が起きた場合、かかりつけでない病院での対応は難しい場合があります。(受診先がすぐに見つからないなど)
キーワードは「ゆとり」妊娠中の国内旅行
国内旅行に行く場合は、事前に産婦人科を調べておくことが大切です。日中に何かトラブルがあった場合は、調べておいた産婦人科にかかれるか一度相談しましょう。
夜間・休日は、一度救急に相談し、指示された施設を受診することになります。また、離島などでは医療リソースが限られます(ヘリコプターや航空機などを使用する場合も)。それらを使用するかもしれないこと、そのうえで旅行に行くかどうかをよくご家族と話し合いましょう。
💡ポイント
海外旅行に比べて比較的安心ですが、なるべく近い場所を検討すると良いでしょう。予定の詰め込みすぎは禁物です。
<時期の目安>
体調が安定しやすい妊娠16週以降~妊娠30週ごろが理想的です。
<移動手段>
車の場合は、1時間毎に休憩をはさみ、シートベルトは腹部を避けて正しく着用しましょう
新幹線・飛行機の場合は、通路側の席を確保し、こまめにトイレに行くなど足首を動かしましょう
<目的地選び>
万が一の際、近くに産婦人科のある総合病院があるかを事前にチェック
知っておきたい高いハードル妊娠中の海外旅行
海外への旅行は、長時間の移動に伴い、国内旅行に行くよりもリスクが上昇します。さらに、国外では医療費が高額となることもあります。海外旅行保険もありますが、加入条件が厳しかったり、入っていたとしても補償があまりされない(巨額な医療費に対応しきれない)ものもあるため、注意が必要です。
身体的な問題としては、乾燥・砂埃・汚染された空気・気温の変化により風邪のリスクがあること、また、加熱や消毒が不十分な食事などではトキソプラズマ・リステリア感染、ウイルス性肝炎、胃腸炎などを起こすこともあります。さらには、長時間のフライトによる血栓症の危険もあります。
💡ポイント
どうしても行く場合は、「海外旅行保険(妊娠によるトラブルもカバーするもの)への加入状況を必ず確認しましょう
急なキャンセルの心構えを旅行に行かれるときには
旅行に行くのであれば、普段以上に、最大限の安全を確保しながら行くことを強く勧めます。食事や宿泊施設に配慮し、無理な日程は避ける、歩きやすい服装にする、危険なアクティビティは避ける(スキー、スキューバダイビング、乗馬など)ことが大切です。
また、出発当日の体調チェックは忘れずに。少しでも「お腹が張る」「出血がある」と感じたら、キャンセルする勇気を持ってください。
トラブルが起こるか起こらないかはわからないですが、すべて自己責任になってしまうので、心配が多い場合は行かない選択をすることも必要です。
必須持ち物リスト
- 母子健康手帳:これまでの経過を知る唯一の手掛かりに
- マイナンバーカード・資格確認証:忘れると全額自己負担となります
- 産婦人科の診察券:旅先の医師がかかりつけ医に連絡を取るために
- 着圧ソックス(あると良いでしょう):むくみと血栓防止に
- 使い慣れたマタニティ下着・腹帯(あると良いでしょう):環境の変化に伴う冷えや負担の軽減に
「万が一の時にどう動くか」をセットで考えましょう
妊娠中に旅行に行くことは、妊婦さんの息抜きになったり、モチベーションとなっていることも多いかと思います。しかし、何かあったときのことを考えると私たち医療者は、やはりお腹の赤ちゃんとママを守りたいという思いがあります。
本記事が旅行に行くかどうか迷っている方、ご家族の参考となれば幸いです。迷われている際は、当院妊娠期に行う保健相談の場でご相談いただいたり、医師にご確認いただければと思います。
最終更新:2026/2/9
戸越銀座レディースクリニック診療案内
戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
このコラムを書いた人
戸越銀座レディースクリニック 助産師新居 諒子
経歴
- 日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学専攻 卒業
- 都内地域周産期センター産科勤務
資格
- 看護師
- 助産師

メッセージ
私は卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや赤ちゃん、そのご家族のケアを実践して参りました。
周産期センターでの勤務では、妊婦さんと関わる機会は多かったですが、地域で生活する女性と関わることは少なかったので、クリニックで幅広い年代の方々のサポートができることを嬉しく感じております。
当院に来院される皆さまが、受診後に少しでも過ごしやすくなっていただけるよう、助産師として働いていきたいと思っております。
戸越銀座レディースクリニックについて
品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。
〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
都営浅草線 戸越駅 徒歩1分
東急池上線 戸越銀座駅 徒歩4分
大井町線 戸越公園駅 徒歩12分
| 時間/曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9:15-13:00 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ★ | ★ |
| 14:00-17:30 | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | ⚪︎ | × | × |
| 17:30-19:00 | × | ⚪︎ | × | ⚪︎ | × | × | × |
★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。
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