妊娠前
妊娠を計画している方にとって、自分の抗体状況を把握しておくことは、健康な妊娠を迎えるための大切な準備のひとつです。
生ワクチンは、毒性や病原性を低下させた(生きている)細菌・ウイルスをそのままワクチンとして用いているため、ほとんどの生ワクチンは、胎児への影響を考慮し、全妊娠期間を通じて原則として接種はできません。そのため、麻疹(はしか)・風疹・水痘(みずぼうそう)・おたふくかぜなどの生ワクチンは、妊娠前の接種が推奨されています。
風疹ワクチン
風疹はほとんどの人は感染しても軽症で治りますが、妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害(先天性風疹症候群)が生じるおそれがあります。
風疹ワクチンはウイルスの毒性を弱めて作られた生ワクチンであり、ウイルスが胎児に感染する可能性が完全には否定できないため、妊娠中は予防接種を受けることができません。そのため、妊娠する前に抗体検査や予防接種を検討することが重要です。また、予防接種を受けてから約2か月は、妊娠を避けるようにしてください。
市区町村の助成を活用しよう
品川区では、妊婦、妊娠を希望する女性、妊婦または妊娠を希望する女性の夫・同居者に対し、風疹抗体検査・予防接種の費用を全額助成しています(平成26年4月1日から)。
当院でも、風疹抗体検査・予防接種どちらも可能です。
妊娠中
妊娠中のワクチン接種はすべて任意接種となっております。当院で妊娠中に接種可能なワクチンは以下の通りです。
ご希望の方は診察・予約時に事前にお申し出ください。
アブリスボRSウイルスワクチン
RS ウイルス感染症は、新生児や乳幼児においてはウイルス性の風邪の主な原因のひとつで、ほぼすべての新生児・乳幼児が2歳までに感染するとされています。また、年齢を問わず何度も感染するため、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年齢層で感染するといわれています。
新生児や乳幼児が感染すると重症化する可能性があり、RSウイルス感染で医療機関を受診した2歳未満児のうち、約25%が入院し、そのうち40%を占めていたのが6か月未満児でした。
生後数か月の赤ちゃんの免疫機能は発達していないため、ワクチンを直接接種しても病原体に対する抗体が作られにくいとされています。そこで、母子免疫の仕組みを利用し、新生児・乳幼児の感染を防ごうというワクチンが開発されました。アブリスボは、妊娠中のお母さんに接種するRSウイルスワクチンであり、新生児・乳幼児のRSウイルス感染症に対する予防効果が期待されます。
接種時期
- 妊娠24週~36週(当院では28週~32週をおすすめしています)
百日咳・ジフテリア・破傷風3種混合ワクチン
百日咳は特有なけいれん性の咳発作を特徴とする急性気道感染症で、特に生後半年未満で感染すると呼吸困難などを呈して重症化し、半数以上が入院治療を必要とします。我が国の百日咳含有ワクチンは生後2か月ごろより接種が可能ですが、特にワクチン未接種の月齢では母親からの免疫(経胎盤移行抗体)が不十分だと早期に感染してしまう可能性もあります。
妊娠後期に百日咳含有ワクチンを接種すると、お母さんの身体の中で作られた抗体が胎盤を介して赤ちゃんに移行するため、赤ちゃんを百日咳の感染から守ることができると考えられています。そのため海外では妊娠後期にTdapという百日咳含有ワクチンの接種を推奨しているところが多いですが、日本ではTdapは認可されていませんので、代わりにDTaP(トリビック)という百日咳含有ワクチンを使用することになります。妊婦さんに対しては有益性投与となっています。
接種時期
- 妊娠27~36週
ご家族も同時に接種することをおすすめしています。
インフルエンザワクチン
妊娠中にインフルエンザに感染すると重症化することがあるため、妊娠期間とインフルエンザ流行期が重なる場合はワクチン接種を推奨しています。妊娠中にインフルエンザワクチンを接種した女性には、感染や重症化の予防に必要な抗体が90%の確立でつくられ、胎児にも免疫力が備わることがわかりました。
接種時期
- 11月以降(流行の状況により早めの接種も望ましい)
- 妊娠中全ての時期において接種可能
妊娠初期にインフルエンザワクチン接種を受けたことにより流産や先天異常の発生リスクが高くなったという報告はありません。
ご家族も同時に接種することをおすすめしています。
コロナウイルスワクチン
妊娠中に新型コロナウイルスに感染しても、基礎疾患を持たない場合、その経過は同年代の妊娠していない女性と変わらないとされています。しかし、妊娠後期に感染すると、早産率が高まり、患者本人も一部は重症化することが報告されており、ワクチン接種のメリットがあると考えられています。
接種時期
- 流行期直前の接種が望ましい
- 妊娠中全ての時期において接種可能
日本で承認されている新型コロナワクチンが妊娠、胎児、母乳、生殖器に悪影響を及ぼしたという報告はありません。また、新型コロナウイルスに感染した妊婦から胎児への感染はまれだと考えられています。妊娠初期または中期に新型コロナウイルスに感染した場合に、ウイルスが原因で胎児に先天異常が引き起こされる可能性は低いとされています。
ご家族も同時に接種することをおすすめしています。
料金
子宮頸がんワクチン(シルガード 9価) | ¥33,000 |
子宮頸がんワクチン(ガーダシル 4価) | ¥17,600 |
麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン) | ¥11,000 |
風疹ワクチン | ¥7,700 |
帯状疱疹ワクチン | ¥22,000 |
肺炎球菌ワクチン | ¥8,800 |
3種混合ワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風) | ¥5,000 |
インフルエンザワクチン | ¥4,000 |
コロナウイルスワクチン | ¥15,000 23区在住65歳以上の方は¥2,500 |
RSウイルスワクチン(アブリスボ) | \36,300 |
プラセンタ注射 | ¥1,100 |
*全て税込価格となります