新生児のお世話について、「人により言うことが違って、どの育児方法が正しいのか混乱した」「母に手伝ってもらったけど、言っていることが古くてもめた」「孫の子育てを手伝いたいけど、今どきの育児ってどうなってるの?」。こんな声をよく聞くので、今回は昔と今の育児の違いをご紹介します。これから赤ちゃんを産むご夫婦や、孫育てが待っているおばあちゃん世代の方のために、少しでも役に立ちますように。
育児の悩み①洋服・靴下
- 昔 -
- 厚着
- 靴下を履かせる
- 今 -
- 熱がこもらないように薄着
- 赤ちゃんは足裏で体温調節しているため裸足でOK
赤ちゃんは、手足の血管を収縮させて体の熱が外に逃げないように体温調節をしています。血管を収縮させた手足は、冷たいのが普通です。体幹が冷たい時には服を1枚増やす・おくるみを使う、室温をあげるなどが必要ですが、体幹が温かく手足だけが冷たい場合は問題ありません。真冬のお出かけなどの場合は靴下で保温してあげる必要があります。
★手袋(ミトン)も同様の考え方です。また、赤ちゃんは自身の手や指の存在を認識し舐めたり動かしたりすることが「自分で体を動かす」最初のステップです。発達を促すためにも、不要なミトンは避けることをお勧めします。
育児の悩み②スキンケア:おふろ
- 昔 -
- 生まれたらすぐに沐浴
- 今 -
- ドライテクニック、沐浴、頭浴
- 最新 -
- 最新:泡沐浴、シャワー浴&ガーゼを使わない
以前は、全身を清めるための儀式として、大人が毎日お風呂に入る習慣に基づいてなどの理由により、沐浴をすることが一般的でした。しかし、その後、赤ちゃんの体温低下、体力消耗や体重減少率の増加を防いだり、皮膚の常在菌を維持してバリア機能を高めたりするために沐浴ではなくタオルで赤ちゃんを拭く「ドライテクニック」の方が良いと言われるようになりました。
いまでも生まれてすぐに沐浴を行う施設はたくさんあります。血や羊水は感染源ともなるため、赤ちゃんの全身状態を観察し判断したうえで行う沐浴は、決して悪いことではないと思います。沐浴の最も多いやり方は、お湯の中で赤ちゃんの体を片手で支え、もう一方の手に泡をつけて赤ちゃんの体を洗い、顔は濡らしたガーゼで顔を拭くといったやり方でしょうか。最近は、ガーゼでこする刺激すらも赤ちゃんには不要とされ、顔もしっかり泡で洗ってあげること、ガーゼは使わず大人の素手で洗ってあげることが良いとされています。さらに、お湯に赤ちゃんを入れる沐浴ではなく、シャワーマットの上に赤ちゃんを寝かせて両手でたっぷりの泡で洗い、シャワーやかけ湯で泡をしっかり流す「泡沐浴・シャワー浴」がいいと言われるようにもなっています。これは、片手で洗うことやお湯の中で泡・沐浴剤を使って洗うことで、汚れが十分に落とせなかったり石鹸成分が赤ちゃんの体に残ったりして湿疹などの皮膚トラブルの原因になるためです。「赤ちゃんを溺れさせてしまわないか不安」という方にとっても安心な方法です。

★どのようなやり方を選んでも、赤ちゃんのスキンケアで大事なのはよく洗ってよく乾燥させてしっかり保湿すること!摩擦をさけること!
育児の悩み③スキンケア:保湿
- 昔 -
- ベビーパウダー
- 保湿剤は使用しない
- 今 -
- ローション、クリーム、オイルなどでとにかく保湿
以前はベビーパウダーが主流でしたが、今はベビーパウダーは、毛穴にある汗腺を塞ぎ湿疹やかぶれの原因となるため使いません。ベビー用のローション・クリーム・オイル、ワセリンやプロペトで生まれた直後から保湿をしてあげてください。生まれてすぐから保湿を続けると、アトピー性皮膚炎の発症率を約3割下げられるという研究結果があります。
また、赤ちゃんの食べ物アレルギーも保湿により防ぐことができることが分かってきています。食物アレルギーは、乾燥したり荒れた肌(いわゆる湿疹ができ、皮膚のバリア機能が低下している状態)の隙間から食べ物の「タンパク」が入り込み、アレルギーの抗体を作ります。その抗体と一致する食べ物を食べた時にアレルギー症状がでるといわれており、保湿により湿疹を予防すること、湿疹を早期に治してあげることが大切とされています。
★何人かの小児科医にきいたところ、保湿剤は「プロペト」が一番人気でした。他のベビー用保湿剤と比べてかなりベトベトしますがその分保湿力は1番高いです。プロペトの場合、お風呂後とそこから半日程度経過する時間を目安に1日最低2回は使用をお勧めします。べたつかないタイプの保湿剤は、プロペトよりも使用頻度を増やしてあげた方が良いでしょう。
最後に
いかがでしたか?育児の「常識」は時代により大きく変わります。また、最適な育児の方法は赤ちゃんとそのご家族をとりまく環境によっても変わります。最低限「こうしたほうがいい」ということはいくつかありますが、「こうしないといけない」と固執するのではなく、赤ちゃんを育てるご家族にとって、より楽にできる育児方法を選んでみてください!
当院では、育児相談、母乳外来をやっております。お悩みやモヤモヤがある方は、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

戸越銀座レディースクリニック診療案内
戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
この産婦人科コラムを書いた人
戸越銀座レディースクリニック 助産師佐藤 友里
経歴
- 日本赤十字秋田看護大学大学院看護学研究科 卒業
- 総合周産期医療センターMFICU勤務
- 産婦人科専門病院・クリニック勤務
資格
- 看護師
- 助産師
- 骨盤ケアリスト
- 妊産婦食アドバイザー

メッセージ
当院において、皆さまが快適に妊娠期を過ごしたり、安全でより理想に近い分娩を体験することができるよう、妊婦健診を通してサポートさせていただきたいと思っています。とくに、妊娠中の食事や栄養、分娩経過について、無痛分娩の話題は大好きです。ぜひ、お困りごとや気になることを聞きに来てください!
婦人科の皆さまも、当院が小さなことでも気軽に相談できる場所になれるよう、丁寧な診療サポートを心がけたいと思っています。
戸越銀座レディースクリニックについて
品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。
〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
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| 17:30-19:00 | × | ⚪︎ | × | ⚪︎ | × | × | × |
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