妊娠中、眠れない夜はありませんか?

妊娠中、眠れない夜はありませんか?

~妊娠中のホルモンと眠りの深い関係~

「妊娠してから夜中に何度も目が覚めるようになった」
布団に入っても眠れない。やっと眠れてもすぐトイレに起きてしまう」

保健相談中、妊婦さんからこのような声を聞くことがよくあります。実は妊娠中の睡眠トラブルは、とてもよくある“からだの変化”の一つなのです。
今回は、助産師のコラムとしてなぜ眠れなくなるのか、その背景と、今日からできる対策についてお話しします。

妊娠と眠りの関係 ホルモンの影響とは?

妊娠すると、体の中ではホルモンの変化が起こります。
その中心になるのが「プロゲステロン」と「エストロゲン」という2つの女性ホルモンです。特に妊娠初期から中期にかけて増えるプロゲステロンには、体温を上げたり、眠気を引き起こす作用があります。
妊娠初期、日中に強い眠気を感じやすくなるのはそのためですが、夜の眠りの質が浅くなるのもこのホルモンの影響です。
また、妊娠中期〜後期になると、子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され、頻尿になる方が多くいます。ほかにも、お腹の張り、胎動、肩こりや腰痛など、身体的な要因も眠りを妨げる原因になります。
「眠れないのは私だけ?」「このまま眠れなかったらどうしよう」と不安になる方もいますが、実は多くの妊婦さんが似たような経験をしているのです。

実は自然なこと睡眠不足が不安になるのだけど、大丈夫なの?

「明日も仕事だし、赤ちゃんのためにしっかり寝なきゃ」と思えば思うほど、眠れないことに対するプレッシャーが強くなり、不安や焦りが増す…という悪循環に入ってしまうことがあります。ですが、眠れない夜があっても大丈夫ですよ。
妊娠中から産後にかけての眠りは、「1日の中でトータルで休めているか」が大切です。夜にまとめて眠れなくても、日中に少しでも体を休めることが重要です。
「昼寝してもいいのかな…」「だらだらしてるって思われないかな…」と感じる方もいるかもしれませんが、妊娠中は休むことも立派なお仕事です。自分と赤ちゃんを守るための大切な休息です。どうか自分を責めないでくださいね。

妊娠中でもできる!眠りやすくするための工夫

夜に少しでもぐっすり眠るためにできることを5つご紹介します。

① 寝る前のスマートフォンの使用やテレビをやめてみる

ブルーライトは眠気を妨げるので、寝る1時間前からスマホやテレビはおやすみしましょう。照明もなるべく暗く(間接照明がおすすめです)し、好きな音楽や香り、軽めのストレッチでリラックスしてみましょう。

② 寝る前のルーティンを作る

毎晩同じ時間に、同じことをすることで「今から眠るよ」という合図になります。
例えば、ぬるめのお風呂 → ストレッチ → お気に入りのハーブティーなど。

③ 抱き枕で楽な体勢をとる

大きくなったお腹を支えることで、腰や背中の負担が減り、リラックスしやすくなります。横向きで、膝の間にもクッションを挟むとよいでしょう。妊娠中は左向きだと圧迫感を感じにくく、楽にいられます。

④ 寝室の環境を整える

温度や湿度を調整し、寝具は通気性のよいものを選びましょう。心地よいと感じることが眠りやすさにつながります。特にこれからは梅雨を迎え湿度が高くなるため、快適な湿度になるようエアコンや除湿器を使うこともおすすめです。

⑤ 日中に適度な運動を行う

軽いウォーキングやストレッチは、夜の眠りを深くする効果があります。ですが、無理は禁物です。お腹が張るときや体調がすぐれないときは無理をせず安静にしましょう。運動は医師の指導のもと、自分のペースで行いましょう。

ママは一人ではありません眠れない夜も、赤ちゃんやパパとのつながりの時間に

眠れない夜、赤ちゃんの胎動を感じながら静かに過ごす時間は、不思議と心に残るものです。夜、ママがリラックスしていると胎動を感じやすいのでいつもよりもっと近くに感じるかもしれません。
「早く寝なきゃ」と焦るよりも、「今、赤ちゃんと一緒にいるんだ」と思えると、少し気持ちが軽くなることもあります。時にはパパを起こして一緒に眠れぬ夜を過ごしてみたり、赤ちゃんとの生活について話してみたりすることもお勧めです。パパは、眠れぬママの不安な気持ちにぜひ寄り添ってくださいね。
もちろん、つらさが続くようであれば我慢せず、いつでも助産師や医師にご相談ください。
眠れない夜があっても大丈夫。妊娠中眠れない夜を過ごしている仲間がいると思うと、なぜだか少しだけ心強く思いませんか?
妊娠中から産後しばらく、夜通しぐっすり眠ることがなかなかできなくなりますが、それもひと時。あなたの体が赤ちゃんを育てるために、がんばってくれている証拠でもあります。
今日もご自分の体に「ありがとう」を伝えるような、やさしい夜を過ごせますように。


戸越銀座レディースクリニック診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師玉置 愛加

経歴

  • 東京都立大学健康福祉学部看護学科、助産学専攻科卒業
  • 都内地域周産期センター産科・NICU勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師

メッセージ

 私は助産学専攻科を卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや産婦さん、お母さんと赤ちゃんのケアに携わってまいりました。
また、NICU・GCU病棟での経験もあり、小さく生まれた赤ちゃんや疾患を抱える赤ちゃんのケアも行ってきました。
前職場の助産師外来では妊婦健診を担当し、産後健診ではお母さんのお話をたくさん聞かせていただきました。その経験を当クリニックの助産師外来でも生かせるよう、妊娠期やお産、産後を心も体も健やかに過ごせるよう、微力ながらサポートさせていただけたらと思います。
 また、婦人科においては、安心して診察を受けていただけるように診察のサポートを努めさせていただきます。
どのようなライフステージにおいても「しんどいな、大変だな」と感じるときには、言葉にするだけでも心が軽くなることがあります。クリニックでいつでもお待ちしておりますので、ぜひお声掛けください。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
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・アクセス
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時間/曜日
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14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
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