卵巣のう腫

卵巣のう腫

 卵巣のう腫は卵巣の病気としてよくみかける疾患です。今回は、卵巣のう腫とはどのようなものなのか、どのように診断し、治療をしていくのかお話ししていきます。

卵巣のう腫とは

卵巣のう腫ってなに?

 卵巣のう腫とは、卵巣にできる「腫瘍(できもの)」の一種です。卵巣の中や周りに液体や脂肪、髪の毛などがたまって袋状の腫瘍になるものを指します。腫瘍と聞くと「がん?」と心配になる方もいるかもしれませんが、多くは良性です。ただし、一部には悪性(卵巣がん)の可能性もあるため、定期的なチェックが重要です。


どんな種類があるの?

卵巣のう腫にはいくつかの種類があります。比較的多くみとめるものには以下のようなものがあります。

  • 漿液性腺腫:サラサラの液体がたまるもの
  • 粘液性腺腫:ゼリー状の粘り気のある液体がたまるもの
  • 成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫):皮膚組織や脂肪、髪の毛、骨などが含まれるもの
  • 内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞):子宮内膜症が原因で古い血液がたまるもの

それぞれ原因や特徴が異なり、治療方針も変わってきます。

症状や合併症

よくある症状は?

 小さなうちは自覚症状がほとんどありません。そのため早期発見をしにくい可能性があります。
 嚢腫が大きくなると、腹部膨満感や下腹部の違和感、痛みを感じることがあります。膀胱や直腸を圧迫することから、頻尿や便意、便秘などの症状にもつながります。ホルモンを産生するタイプの腫瘍では月経異常や不正性器出血を起こすこともあります。


重大な合併症~茎捻転

 嚢腫が大きくなると、その重みで卵巣がねじれて血流が途絶える「茎捻転」を起こすことがあります。これは突然の激痛を引き起こし、緊急手術が必要になることもあります。痛みが強い場合は、すぐに病院を受診してください。

検査や治療

検査方法は?

 卵巣のう腫は、婦人科での超音波検査やMRI、CTなどの画像検査で診断します。自覚症状がなくても、健康診断や婦人科検診をきっかけに見つかることもあります。


悪性腫瘍との鑑別

 良性の卵巣のう腫と悪性腫瘍の鑑別は、最終的には手術で取り出した卵巣腫瘍自体の病理検査で行われます。日常診療の中では、超音波検査やMRI、CTなどの画像検査、腫瘍マーカーを用いて診断します。

治療方法は?

嚢腫の種類や大きさ、年齢、妊娠希望の有無によって治療法が変わります。

  • 小さくて症状がなければ「経過観察」
  • 大きくなっている場合や症状がある場合は「手術」
  • 良性なら腹腔鏡手術、悪性の疑いがある場合は開腹手術が選択されることが多いです。

まとめ

 卵巣嚢腫は、女性なら誰にでも起こりうる病気です。症状がないまま進行することも多いので、定期的な婦人科検診がとても大切です。特に妊娠を希望している方は、妊娠の妨げになる場合もあるため、早めのチェックをおすすめします。気になる症状がある方も、何も症状がない方も、ぜひ一度婦人科で相談してみてください。

診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

婦人科

婦人科

 戸越銀座レディースクリニックは女性の様々な世代において起こりうる身体の変化・お困りごとに対して寄り添い、快適に過ごせるよう最適な診療を提供いたします。
婦人科の画像

オンライン診療

オンライン診療

 各種婦人科検診・ワクチン接種・ピル処方のほか、女性の健康に関連する検査を組み合わせた婦人科ドックをご提供しています。
オンライン診療の画像

産科・妊婦健診

産科・妊婦健診

 当院には周産期施設にて勤務してきた女性医師・助産師が在籍しております。妊娠・出産前後に関するご相談をお受けします。妊娠を通して変化する心と身体に寄り添った診療を提供いたします。
産科・妊婦健診の画像

婦人科検診・ドック

婦人科検診・ドック

 戸越銀座レディースクリニックでは定期検査・婦人科検診を含めた婦人科診療に力を入れています。女性の一生に寄り添えるクリニックを目指します。
婦人科検診・ドックの画像

自費診療

自費診療

 各種婦人科検診・ワクチン接種・ピル処方のほか、女性の健康に関連する検査を組み合わせた婦人科ドックをご提供しています。
自費診療の画像

この婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 副院長・産婦人科専門医春名 百合愛(はるな ゆりあ)

経歴

  • 日本医科大学医学部卒業
  • 同大学女性診療科・産科入局後、大学病院・周産期センターにて勤務
  • 日本産科婦人科学会 産婦人科専門医・指導医
  • 日本周産期・新生児医学会 母体・胎児専門医

学会・資格

  • 日本周産期・新生児医学会 会員
  • 新生児蘇生法専門コース修了
  • 日本女性医学会 会員
  • 日本生殖医学会 会員

メッセージ

 私は医学部時代に自身が産まれた周産期センターで臨床実習をした際に、生命の誕生の奥深さに感動し、産婦人科医を志しました。大学病院入局後は、産婦人科学全般を学んで専門医を取得し、希望であった周産期分野に従事してまいりました。女性にとって妊娠・出産は大きなライフイベントであり、喜びとともに不安も尽きないと思います。その前後も含めたすべてのライフステージにおける女性が自分らしく健やかに生きるサポートをいたします。産婦人科というとなかなか受診のハードルが高いと感じる方もいらっしゃると思いますが、安心してご相談いただけるよう丁寧な診療を心がけますので、ぜひお気軽にお越しいただけましたら幸いです。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
 都営浅草線 戸越駅 徒歩1分
 東急池上線 戸越銀座駅 徒歩4分

時間/曜日
9:15-13:00⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。

記事に関連する記事

昔と今の育児の違い①

 新生児のお世話について、「人により言うことが違って、どの育児方法が正しいのか混乱した」「母に手伝ってもらったけど、言っていることが古くてもめた」「孫の子育てを手伝いたいけど、今どきの育児って...

女性の身体と冷えについて

 本日は助産師のコラムです。だんだんと春の温かさを感じる時期ですが、朝晩は寒い日も多いですね。夜お風呂に入った直後は温まっていても寝る前になると足先が冷えてなかなか寝付けない方もいらっしゃるの...

妊娠中の頭痛の原因と対処法

 妊娠中の辛い頭痛。妊娠中だから薬は飲めないの?辛い症状に対して、どのような対処ができるのか、また、未然に防いだり、軽くしたりする方法、内服しても良い薬についてお話していきます。何が...