新生児のお世話について、「人により言うことが違って、どの育児方法が正しいのか混乱した」「母に手伝ってもらったけど、言っていることが古くてもめた」「孫の子育てを手伝いたいけど、今どきの育児ってどうなってるの?」。こんな声をよく聞くので、今回は昔と今の育児の違いをご紹介します。これから赤ちゃんを産むご夫婦や、孫育てが待っているおばあちゃん世代の方のために、少しでも役に立ちますように。
母乳のあげかた
昔: 3時間ごとにあげる
今: 赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけあげる「自律授乳」を推奨
赤ちゃんに飲ませるもの① 母乳vsミルク
昔: ミルクの方が栄養があり腹持ちがいい
今: 母乳が最適な栄養
★母乳が最適といわれていますが、ミルクにも、母乳に不足しがちなビタミンKやビタミンDが豊富に含まれています。また、赤ちゃんを産んだ直後から、赤ちゃんが満足する量の母乳が出ることは稀です。赤ちゃんの体重減少や黄疸を懸念し、母乳の不足分は3時間毎にミルクを足しましょうと提案する施設も多くあります。母乳vsミルク論争は、小児科医や助産師の中でもいまだに決着はついていませんが、様々な母児・ご家族の状況がある中で、一口に母乳だから、ミルクだからといった議論はナンセンスだと思います。私個人としては、赤ちゃんを育てるご家族が1番楽にできる方法が1番いいと思っています。母乳かミルクか悩んでいる方は、ぜひ一度当院の母乳外来・育児相談へお越しください。

赤ちゃんに飲ませるもの② 母乳・ミルク以外のもの
昔: 白湯や糖水、離乳食開始前に果汁
今: 母乳・ミルク
以前は、脱水予防、(母乳分泌が十分になるまでの間の)赤ちゃん空腹感を紛らわせるのため、胎便を出しやすくするためなど理由から、赤ちゃんに白湯や糖水を飲ませていました。
今は、これらには栄養補正の効果はなく、母乳・ミルクが1番よいとされています。
また、以前は母乳・ミルク以外の味に慣れて離乳が進む、スプーンになれるなどを目的に果汁をあげていましたが、果汁をあげても離乳は進まないこと、母乳・ミルクよりも甘い果汁を飲むことで母乳やミルクを飲まなくなることが懸念されているので、果汁も与えることは推奨されなくなりました。果汁よりも母乳・ミルクの方が栄養もあるため果汁を与える栄養学的な意義もなくなり、母乳・ミルク以外の味には離乳食開始後に慣れていくので十分となっています。
抱っこ
昔: 抱き癖がつくため泣いてもすぐに抱っこしない
今: 泣いたらすぐに抱っこ
泣いたときに親がすぐに抱っこしてくれることは、赤ちゃんの自己肯定感や親子の信頼関係に影響することがわかっています。スキンシップにより愛情ホルモンとよばれる「オキシトシン」が出ることも科学的に証明されています。以前よく言われていた「抱き癖がつく」「抱っこじゃないと泣き止まない子に育つ」は科学的根拠がありません。

日光浴
昔: 「1日10分、足先から」「天気の良い日は薄着で日光浴」などの記載が母子手帳にあった
今: 紫外線の強い時間帯と直射日光を避け、長袖、帽子、紫外線防止クリームなどで対策をして生後2週間頃から外気浴を
紫外線は、体の中でビタミンDを作る働きがあります。ビタミンD不足による「くる病」を防ぐことが目的でしたが、その後の研究により、日なたで10-15分程度、日陰で30分程度、服を着たままでも顔や手足に日光が当たれば体内でビタミンDをつくるのに十分ということがわかってきました。また、紫外線による害のほうが大きくなってきたため、今は日光浴ではなく外気浴や対策をした上での日光浴をお勧めしています。
最後に
いかがでしたか?育児の「常識」は時代により大きく変わります。「昔と今の育児の違い②」では、沐浴やスキンケアの新常識をお伝えします。
戸越銀座レディースクリニック診療案内
戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。
この産婦人科コラムを書いた人
戸越銀座レディースクリニック 助産師佐藤 友里
経歴
- 日本赤十字秋田看護大学大学院看護学研究科 卒業
- 総合周産期医療センターMFICU勤務
- 産婦人科専門病院・クリニック勤務
資格
- 看護師
- 助産師
- 骨盤ケアリスト
- 妊産婦食アドバイザー

メッセージ
当院において、皆さまが快適に妊娠期を過ごしたり、安全でより理想に近い分娩を体験することができるよう、妊婦健診を通してサポートさせていただきたいと思っています。とくに、妊娠中の食事や栄養、分娩経過について、無痛分娩の話題は大好きです。ぜひ、お困りごとや気になることを聞きに来てください!
婦人科の皆さまも、当院が小さなことでも気軽に相談できる場所になれるよう、丁寧な診療サポートを心がけたいと思っています。
戸越銀座レディースクリニックについて
品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。
〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
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17:30-19:00 | × | ⚪︎ | × | ⚪︎ | × | × | × |
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(受付終了は診療終了時間の30分前)
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