月経(生理)は、女性の心と体の状態を映す「健康のサイン」です。周期の乱れや出血量の変化、月経前の不調など、気になる症状がある場合は、女性ホルモンのバランスが崩れている可能性があります。当院では、月経に関する不安やお悩みに丁寧に対応しています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
正常な月経とは?
月経周期 | 25~28日(平均28~30日) |
月経期間 | 3~7日間(平均4.6日) |
出血量 | 1回の月経で20~140ml程度 (ナプキン交換目安:日中に3~4時間ごと) |
人によって多少の違いはありますが、上記の範囲に収まっていれば「正常な月経」と言えます。
ちなみに・・・
生理周期と女性ホルモンの変化は密接に関連しています。わたしたちの生理周期はおおむね1か月毎、28日周期となっておりエストロゲンとプロゲステロンそれぞれ強く影響する前半と後半に分けることができます。
生理終了~14日目頃の前半
卵胞期でありエストロゲンによる影響を多く受けます。卵巣の中にある卵子が成長し始めると同時にエストロゲンの分泌も増えていきます。子宮内膜は厚くなります。
生理から14日目頃
排卵期ではエストロゲンの量がピークに達し、卵巣で成熟した卵子が卵巣の外に放出され排卵が起こります。この時に排卵痛を感じる方もいます。
排卵後から生理28日目頃の後半
黄体期では卵巣で破裂した卵胞の残りが黄体へと変化します。黄体からプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され子宮内膜はさらに厚くなり、体温は高い時期となります。この時期に妊娠が成立しなかった場合は黄体が徐々に退縮し、エストロゲンもプロゲステロンも低下していくことで子宮内膜が剥がれ落ち、出血として現れ次の生理に至ります。
月経不順など月経周期の異常
こんな症状はありませんか?
- 原発性無月経:女性は通常、10歳から16歳の間に初めて月経が始まりますが、満 18 歳を迎えても初経が起こらない時は原発性無月経を疑います。
- 続発性無月経:もともと生理のあった方が3ヶ月以上生理が来ない状態を指します。
- 頻発月経:生理が21日以内にもう一度来てしますことを指します。
- 稀発(きはつ)月経:周期が39日以上3カ月以内に起こる生理と定義され、続発性無月経と同様の原因にて起こります。
主な原因
- ストレス・睡眠不足・過度なダイエット:脳(視床下部)がホルモンの調節を乱すことがある
- 思春期・更年期:ホルモンの分泌が不安定になりやすい時期
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):排卵が起こりにくく、月経が遅れがちになる病気
- 甲状腺機能の異常:甲状腺ホルモンも月経に関係

検査
- 基礎体温の測定(排卵の有無を確認)
- 血液検査(ホルモン値、甲状腺機能など)
- 超音波検査(子宮・卵巣の状態をチェック)
治療
- 生活習慣の見直し(栄養・睡眠・ストレス管理)
- 排卵を促す薬(PCOSなど)
- ホルモンバランスを整える治療(低用量ピル、漢方薬など)
生理前がつらい月経前症候群(PMS)
月経前不快気分障害(PMDD)
PMSとは
月経の1〜2週間前から心や体にさまざまな不調が出る状態です。月経が始まると自然と軽くなるのが特徴です。
よくある症状
- 気分の落ち込み、イライラ、不安
- 胸の張り、下腹部痛、むくみ、頭痛、眠気
- 集中力の低下、食欲の変化(甘い物がやめられないなど)
PMDDとは
PMSの中でも、特に「精神的な症状」が強く、日常生活に支障が出る重症型です。うつ病や不安障害に似た症状が出ることもあります。
原因
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)に対する脳の過敏な反応
- セロトニンの働きの低下
検査・診断
- 症状日記(いつから、どんな症状が、どれくらい続くか記録)
- 必要に応じてホルモン検査や精神症状の評価
治療
- 生活習慣の改善(ストレス管理、睡眠・食事の見直し)
- 漢方薬(当帰芍薬散など)、ビタミンB6、カルシウム補給
- 低用量ピル(排卵を止めてホルモン変動を抑える)
- SSRI(抗うつ薬):PMDDに特に効果があるとされています
お悩みがある方へ
「いつもと違う」「つらいけど我慢している」「病院に行ったほうがいいかわからない」そんな月経の悩みがあれば、お気軽にご相談ください。月経の不調には必ず原因があります。ご希望やライフスタイルに合わせた治療を一緒に考えていきます。