避妊目的でのピル
ピルは女性ホルモンを利用して月経周期を調整する避妊方法です。ピルは非常に効果的な避妊方法の1つです。
避妊の効果を比較する指標としてパール指数というものがあります。パール指数とは100人の女性がある避妊方法を1年間実施した場合の妊娠数を指しパーセント(%)で表されます。パール指数1%とはその避妊方法を1年間行った100人の女性のうち1人が妊娠したということです。つまりパール指数が低ければ低いほど避妊方法としては効果的ということになります。
ピルのパール指数は0.3%(正しく内服できている場合)とされています。他の避妊方法との比較として男性用コンドームは2%、ミレーナなどの子宮内レボノルゲストレル徐放システム(IUS)は0.5%となります。ピルは非常に効果的な避妊方法ではありますが、飲み忘れなど正しく内服されていないと効果を発揮できないためご自身で管理する必要があります。
日本ではピルは医療用医薬品のため市販で購入することはできません。医師の診察及び処方のもと医療機関で購入することができます。しかしピルは海外サイトなどのインターネットを経由して個人で輸入・購入をすることもできます。自己流でピルを使用した場合、最大限の効果を発揮することができないこともあります。また副作用もある薬となります。購入を検討する場合は医療機関を受診し、医師の指導者と適切な使用をするようにしましょう。
ピルの種類
血栓症のリスクが低いスリンダ錠28

国内で初めて承認された、プロゲスチン単剤(ドロスピレノン)の避妊ピルです(通称ミニピル)。
従来のピルに比べて静脈血栓塞栓症のリスクがとても低いと言われ、さらに喫煙者や肥満、高血圧、前兆を伴う片頭痛をお持ちの女性など、従来の避妊ピルが使用できない方にも、スリンダ錠が選択肢となりえます。
スリンダ錠28に含まれるドロスピレノンは、排卵の抑制、子宮内膜の菲薄化、子宮頸管粘液の高粘稠による精子の侵入障害により避妊効果を発揮します。避妊効果は従来のピルと同等と言われています。
トリキュラー錠28

卵胞ホルモン量を抑え、かつ黄体ホルモン量も少なくしている製剤。アンドロゲン作用が強い。不正出血が起こりにくく、生理周期が安定しやすい。
マーベロン錠28

アンドロゲン作用が少ないため、ニキビや多毛に効果的とされている。
ラベルフィーユ錠28

卵胞ホルモン量を抑え、かつ黄体ホルモン量も少なくしている製剤。アンドロゲン作用が強い。不正出血が起こりにくく、生理周期が安定しやすい。
ファボワール錠28

アンドロゲン作用が少ないため、ニキビや多毛に効果的とされている。
ピルの内服についてよくあるご質問
休薬期間に出血がない、大丈夫?
ホルモンの作用が安定することにより、子宮内膜が厚くならないことがあります。そのため休薬期間中の出血が少なかったり出血がないこともあります。ピル内服中の休薬期間において出血がなくても心配はいりません。妊娠の可能性がある方は、妊娠検査薬の使用をおすすめします。
薬を飲み忘れた
ピルを飲み忘れることにより、避妊効果や病気の治療効果は下がります。また、不正出血など予期せぬトラブルが起こる可能性があります。性交渉がある場合は必ず避妊をしましょう。
薬の飲み忘れに気づいたときにはすぐに1錠を内服し、当日分の1錠もいつもの時刻に飲みます。
2日以上内服を忘れた場合は、気づいた時に前日分の1錠を飲み、当日分の1錠もいつもの時刻に飲みます。
※1日に2錠より多く飲むことはありません。
ニキビは治る?
ピルはホルモンバランスを整えることで、ニキビや肌荒れの改善が期待できます。内服の種類も関係あるので、主治医にご相談ください。
不正出血が続いている
ピル内服開始後1〜3ヶ月は不正出血をはじめとする副作用(嘔気、頭痛など)が出ることがあります。長く続く場合や量が多い場合は他の病気が隠れていることもあります。そのため受診をおすすめします。
休薬の期間をずらしたい
出血の日を移動させたい場合は同じピルの内服を調整することにより可能です。主治医にご相談ください。
何シート処方してもらえますか?
病院によって異なりますが、当院では最大3ヶ月処方しております(自費ピルの場合は6ヶ月まで)。血栓症などの合併症リスク観点から定期的な検診を受けながら内服を継続することが大切です。
妊娠しづらくなるって本当?
ピルは一時的に排卵を抑える薬です。内服を中止すれば自然に排卵が戻り、妊娠が可能になります。将来の妊娠率に悪影響はありません。