妊娠中の頭痛の原因と対処法

妊娠中の頭痛の原因と対処法

 妊娠中の辛い頭痛。妊娠中だから薬は飲めないの?辛い症状に対して、どのような対処ができるのか、また、未然に防いだり、軽くしたりする方法、内服しても良い薬についてお話していきます。

何が引き起こしている?1.妊娠中の頭痛の原因

①妊娠初期の頭痛

 原因の一つとして、ホルモンバランスの変動が挙げられます。生理前や妊娠初期に分泌量が増える女性ホルモン(プロゲステロンとエストロゲン)は胎児が育つために必要なホルモンですが、これらは血管を拡張させる作用があるため頭痛の原因になります。

②片頭痛

 もともと偏頭痛を持っている方が、妊娠により女性ホルモンの分泌量が増え自律神経が乱れることにより、頭痛を起こすことがあります。

③緊張性頭痛

 後頭部から首筋、頭の表面や全体を強く圧迫されているような痛みを感じるもので、筋肉が緊張して血流が悪くなることが原因です。全身が重い感じがしたり、肩凝りを感じたりする人もいます。運動不足でも起こる場合があり、妊娠中全期間で起こりえます。また、ストレスから緊張性頭痛を引き起こすこともあると言われています。

④風邪による頭痛

 体温が38度以上あり、咳や鼻水が出るときは風邪の可能性が高いでしょう。妊娠中は赤ちゃんのことを異物として攻撃しないよう免疫力が下がっています。それに伴って妊娠中は風邪などの感染症にかかりやすくなり、重症化しやすい場合もあるため、無理をせずしっかり休むことが大切です。

どうしたら良い?2.それぞれの頭痛の対処法

①妊娠初期の頭痛

 妊娠初期はホルモンバランスの変化などで自律神経が乱れていたり、何となく気持ちが落ち着かなかったりします。気分が悪くならなければハーブの香りをかいだり、心が安らぐ音楽を聴いたり、ゆっくりと深呼吸をするなどしてリラックスする時間を意識的に作りましょう。1日に2〜3杯ほどの少量であればカフェインの摂取も効果的です。

②片頭痛

 痛む場所をすぐに冷やすと効果的です。保冷剤などをタオルにくるんだものを当てるか、冷たい湿布を貼ると良いでしょう。体を温めたり、マッサージを受けたりすると片頭痛が悪化しやすいため、注意が必要です。また、強い光やにおいなど、不快に感じるものがあるなら避けておきましょう。他には、部屋を暗くして静かな状態で休む、睡眠を取る、痛み始めにカフェインを摂ることも片頭痛の対策になります。

③緊張型頭痛

 緊張型頭痛は血流の悪さが原因となっているため、マッサージやストレッチを行うことが対処法になります。姿勢をこまめに変えながら、できる範囲で体全体をほぐす体操やストレッチをしてみましょう。痛みを感じる部分に蒸しタオルを使うことや、入浴するのもよいかもしれません。緊張型頭痛には同じ姿勢を続けることによって起こる身体的な原因によるものと、環境の変化や人間関係のストレスなどから精神的な原因によるものの2種類があります。状況によってはストレスケアを心掛けることが解決への近道となることもあるでしょう。

④医師に相談する

 どうしても頭痛がつらいときは、医療機関で医師に診てもらう方がよいでしょう。妊娠中は、飲んでもよい薬と、胎児に影響のある薬がありますが、医師から処方されるものであれば安心して服用できるでしょう。

普段からできることは?3.頭痛予防のためにできること

①生活習慣を整える

 普段の食事の栄養バランス、適度な運動や入浴、姿勢矯正など、生活習慣の改善によって頭痛の原因を取り除くことが可能です。入浴や運動、リラックスする時間を作ってうまくケアしてみてください。同じ姿勢で長時間を過ごすと血流に影響するため、定期的にストレッチすることも効果的です。

②気分転換の時間を意識する

 ストレスは自律神経を乱す原因になり、片頭痛・緊張型頭痛どちらにもつながってしまいます。誰にも気を遣わなくてもよい時間を作ったり、おいしいものを食べたり、趣味を楽しんだり、気分転換をすることも大切です。

③誰かに相談する

 近くにいるパートナーや何でも話せる親友、出産経験のある友達、家族などに悩んでいることや不安に感じていることを話すことで心が軽くなる人もいます。頭痛がひどくて動けないときにはどうしてもらえると助かるか、ピンチのときにどのように対応してもらうかを決めておくと安心できます。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。頭痛の対策をすることは、健康な身体を作る、自分の身体と向き合う機会にもなるかもしれません。妊娠中の方はもちろん、妊娠を考えている方も、ぜひ実践してみてください。




戸越銀座レディースクリニック診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師新居 諒子

経歴

  • 日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学専攻 卒業
  • 都内地域周産期センター産科勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師

メッセージ

 私は卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや赤ちゃん、そのご家族のケアを実践して参りました。
周産期センターでの勤務では、妊婦さんと関わる機会は多かったですが、地域で生活する女性と関わることは少なかったので、クリニックで幅広い年代の方々のサポートができることを嬉しく感じております。
 当院に来院される皆さまが、受診後に少しでも過ごしやすくなっていただけるよう、助産師として働いていきたいと思っております。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
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時間/曜日
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