産後シリーズ④パパの心の変化と夫婦関係について

産後シリーズ④パパの心の変化と夫婦関係について

 本日は助産師のコラムです。産後の回復シリーズ④パパの心の変化と夫婦関係についてお伝えしていきます。
3回にわたってママの心身の変化や赤ちゃんとの生活についてお伝えしてきましたが、今回が産後シリーズ最後となります。
妊娠・出産と聞くとママや赤ちゃんがフォーカスされますが、パパにとっても人生の一大事。妻が妊娠した、パパになるってどんな感じ?と期待、不安、心配、色々な気持ちになると思います。産後訪れるパパの変化や夫婦関係の変化に戸惑った時に読んでいただけたら嬉しいです。

パパにもあるんですパタニティブルー

知ってますか?症状

 皆さん、パタニティブルーという言葉を聞いたことはありますか?
赤ちゃんが生まれて3か月くらいまでの間に赤ちゃんに対して父親に起こる心身の状態をパタニティブルーと言います。睡眠障害や頭痛、肩こり、口が乾く、腹痛や吐き気などの身体症状や、不安、イライラ感、怒りっぽくなる、うつ状態になる方もいます。

責任感や自分への期待から・・・原因

 父親になったことがきっかけで、父親としての役割を全うしようと考えるあまり動揺や葛藤が生まれる方も。育児や家事を頑張らないと!と思うことで焦りやプレッシャーを感じてしまい、その心情が原因となることもあります。また、赤ちゃんが生まれることで生活のスタイルも変化し、睡眠時間が短くなってしまったり、仕事と家庭との両立が大変になったりすることも原因の一つです。

妊娠中からイメージづくりを予防方法と対処

予防方法としては、
・パパにこういった症状が現れる可能性があることをママもパパ本人も知っておくこと
・両親学級などに出て、妊娠、出産、産後にかけてのイメージを作ること
・妊娠中から産後にかけて夫婦間で気持ちをため込まず、たくさん会話をする(お互いに言いすぎずに思いやりを持って)
・目標や理想を高くしすぎず肩の力を抜いて育児や家事を行う
などが大切です。
症状が2週間以上続き軽快しない時、症状がどんどん悪化する時、一度収まった症状が再発した時には精神科や心療内科の受診が必要です。当院助産師外来、育児相談の中ではパパのお話も伺えますので、いつでもご相談ください。


時代は変わっています育休取りますか

意外と多い?少ない?実際どれくらいの人が取ってるの?

 最近は男性でも育休を取得する方が増えています。厚労省の調査によると、令和5年度における男性育休等取得率は46.2%、男性の育休等平均取得日数は46.5日と報告されています。
社会としても男性の育休を推進している一方で、半数以上のパパは育休を取らない・取れないという事実もあります。
育休を取ったパパが育児や家事をせずに家でまったり過ごしたり友人と飲み会なんて話も・・・。そうなってしまっては夫婦関係にもひびが入るかもしれず、それでは本末転倒です。
育児に関して夫婦の協力は以前コラムでお伝えした通り。妊娠中から産後の協力について話し合い、パパ・ママともに育休を取得して一緒に育児や家事ができると良いですね。

知っていますかそもそも、育休って?

 育休についてですが、男女ともに取得できるのは、原則として子どもが1歳になるまでの1年間となります。男性の場合には配偶者の出産予定日から、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までの間で取得することが可能です。女性の場合は出生後、8週間の産後休業の後に育休期間が始まるのに対し、男性は出生直後(または出産予定日)から育休期間が始まります。一定の条件を満たすと育児休業給付金を受け取ることができ、金銭的な補助を受けられます。
育休は2分割で取得することができ、今は育児休業に合わせて、条件によって産後パパ育休やパパ・ママ育休プラスという育休期間を1歳2か月まで延長できる制度もあります。家庭によって育児や仕事の環境は様々であり、ご家庭にあった方法で育休を取得、育児や家事、夫婦のお互いのケアを行えると良いでしょう。


産後の夫婦関係ガルガル期と産後クライシス

ガルガル期とは

 最近よく聞く「ガルガル期」、医学的用語ではないのですが、実はママの産後のホルモンバランスの変化が大きく影響しています。
出産時にオキシトシンというホルモンが大量に放出し、産後は直接授乳の度にオキシトシンが分泌されます。オキシトシンは愛情・幸せホルモンともいわれますが、一方で自分の敵と認定する対象には攻撃的になることがあります。産後は赤ちゃんを守るという本能がママに働くため、本来敵ではないのですが、自分と赤ちゃん以外の人、パパやおじいちゃんおばあちゃんにイライラしてしまうことがあったり、なんとなくいやな気持ちを抱いてしまったりするママもいます。周りのご家族が協力的でない場合はその気持ちが強くなってしまうことも。
もちろんガルガル期を経験しないママもいますが、程度や期間は人それぞれ。そういった気持ちになったとしてもママはホルモンの変化と理解して気負わず、パパはそんなママを理解して受け止められるとお互いに心地よい関係性を保てるのではないかと思います。

産後クライシスとは

 「産後クライシス」というのも医学的用語ではなく、2012年に初めて出てきた単語です。産後2年以内に夫婦の愛情が急に冷え込む状況を指す言葉とされており、5割のママが経験するともいわれています。特に産後1~3か月に始まることが多く、パパの育児・家事参加が少なく育児負担や家事の負担が平等ではないことや、産後のママの体調不良が関係するようです。
産後クライシスにならないためにはママだけではなくパパも積極的に育児・家事を行っていくこと、夫婦間でよく会話をすること、お互いに思いやりの気持ちを持って生活することが大切ではないでしょうか。

まとめ


 この回で全4回の産後シリーズは終了です。妊娠中、時には妊娠前から妊娠・出産・産後のイメージを夫婦で作り、できるだけ幸せをたくさん感じられる産後を過ごしていただくことが私たちの願いです。妊娠中や産後の助産師外来を通してそのお手伝いができたら幸いです。いつでもお待ちしております。

戸越銀座レディースクリニック診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師玉置 愛加

経歴

  • 東京都立大学健康福祉学部看護学科、助産学専攻科卒業
  • 都内地域周産期センター産科・NICU勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師

メッセージ

 私は助産学専攻科を卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや産婦さん、お母さんと赤ちゃんのケアに携わってまいりました。
また、NICU・GCU病棟での経験もあり、小さく生まれた赤ちゃんや疾患を抱える赤ちゃんのケアも行ってきました。
前職場の助産師外来では妊婦健診を担当し、産後健診ではお母さんのお話をたくさん聞かせていただきました。その経験を当クリニックの助産師外来でも生かせるよう、妊娠期やお産、産後を心も体も健やかに過ごせるよう、微力ながらサポートさせていただけたらと思います。
 また、婦人科においては、安心して診察を受けていただけるように診察のサポートを努めさせていただきます。
どのようなライフステージにおいても「しんどいな、大変だな」と感じるときには、言葉にするだけでも心が軽くなることがあります。クリニックでいつでもお待ちしておりますので、ぜひお声掛けください。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
 都営浅草線 戸越駅 徒歩1分
 東急池上線 戸越銀座駅 徒歩4分

時間/曜日
9:15-13:00⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。

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