妊娠中の食事について

妊娠中の食事について

 今回は助産師コラムとなります。タイトルの通り、妊娠中の食事についてお話させていただきます。
妊娠すると、食べるのに注意が必要な食材や、積極的に取った方が良い食材があります。
また、妊娠中の体重増加が気になる方もいらっしゃるかと思います。急激な体重増加をきたさないような食事の工夫についても、当コラムでお伝えさせていただこうと思います。

妊娠中の食事は何に気を付ければ良いの?

 お腹の赤ちゃんの正常な発育と妊娠中のママの身体を保持するため、妊娠前に比べエネルギ-やたんぱく質、鉄分、カルシウムやビタミン類などの栄養素を多く必要とします。
また、妊娠期間中は、貧血や便秘、肥満、高血圧などを予防することが、赤ちゃんの正常な発育を保つうえで大切です。
妊娠中はもちろん、妊娠ご希望の方は妊娠前から食事の取り方に気をつけてみましょう。

基本の食事

しっかりと食べましょう3度の食事

 妊娠期間中は、エネルギーやたんぱく質、各種のビタミン、カルシウム、鉄分、食物繊維などの必要量が増加します。普段から少食や過食、冷凍食品やインスタント食品、調理済み食品の頻繁な使用などをできるだけ避け、栄養のバランスを良くしましょう。
食事の組み合わせは、主食(ご飯、パン、めん)、主菜(魚、肉、卵、大豆製品など)、副菜(いも、野菜、海藻、きのこなどのほか果物、牛乳など)が整った食事にしましょう。

控えめにしましょう塩分

 食塩の取り過ぎは、高血圧や浮腫(むくみ)を招き、妊娠高血圧症候群のリスクになります。塩やしょうゆ、みそなどは控えめにしましょう。また、食塩を多く含む魚、肉などの加工食品や漬け物なども意識して少し控えるようにしましょう。酢や柑橘類、香辛料、香味野菜、のり、ごまなどの風味の良い食品を利用し、薄味でもおいしく食べられる料理の工夫ができるとより良いです。

気を付けましょう便秘

 ホルモンの関係や腸が圧迫されることなどにより、便秘になりやすくなります。野菜、海藻類、きのこ、こんにゃく、豆類などを多くし、食物繊維が不足しないようにしましょう。また、果物や牛乳、ヨ-グルト、麦茶やミネラルウォーターなどで水分を多めに取り、規則正しい生活や排便の習慣を心掛け便秘を予防しましょう。

とても大切です鉄分

 赤ちゃんは、血液を造るために必要な鉄分を、胎盤を通してママの身体からとっていきます。ママの身体に貯蔵鉄が十分にないと、胎児の発育にも悪影響を及ぼします。赤身の肉、魚介、大豆・大豆製品、緑黄色野菜など鉄分を多く含む食品や魚、肉、卵、大豆製品など良質のたんぱく質、果物や野菜、じゃがいも、さつまいもなど鉄の吸収をよくするビタミンCを多く含む食品などを毎日の食事に組み入れましょう。

注意が必要な食事


どれくらいとって良いの?カフェイン

 妊娠中のカフェインのとり過ぎは、赤ちゃんの低体重や流産・早産につながる可能性があるため、飲み過ぎは良くありませんが、どのぐらいの量が危険かはよく分かっていません。
 WHOや英国、カナダなどでは、1日200~300mg=コーヒーをマグカップ2杯程度までは問題ないといわれています。しかし、飲んだ場合の影響には個人差があり、動悸やお腹の張りが起こるような場合は控えましょう。コーヒーの他、エナジードリンクはカフェインを多く含みますので、飲みすぎには注意が必要です。

少しなら大丈夫なの?お酒

 妊娠中の飲酒は、妊娠高血圧症候群の発症リスクを上昇させるほか、赤ちゃんの先天異常と妊娠経過の異常を伴う、胎児性アルコール・スペクトラム障害を発症するリスクがあります。アルコールは妊娠中のすべての期間で、量に関係なく赤ちゃんに不可逆的な影響を起こす可能性があることから、少ない量だから良いということはありません。また、妊娠がわかるまで定期的に飲酒している場合、すぐに禁酒すると赤ちゃんへの影響を少なくすることができる可能性があります。

なぜ気を付けるの?生の肉、ナチュラルチーズ

 胎盤を通して赤ちゃんに感染するタイプの微生物が付着していることがあります。
 ナチュラルチーズ、生ハム、肉や魚のパテ、スモークサーモンなどにはリステリア菌がいることがあります。リステリア菌とは、食品を介して感染する食中毒菌で、胎盤を通して赤ちゃんに感染します。流産や、新生児の感染症(肺炎、敗血症、髄膜炎)を引き起こすことが知られています。妊娠中に食べるチーズは、プロセスチーズが安心です。
 また、加熱が不十分な肉にはトキソプラズマがいることがあります。猫などの動物の体内や排泄物、土の中、生肉を通じて感染することがあります。妊娠中に初めて感染すると、胎児の水頭症、運動・精神発達の遅れ、視力障害が起こる可能性があります。抗体を持っていない方は、食用肉はよく火を通す、生ものに触れた後はよく手を洗う、ガーデニングや動物の糞尿処理児には手袋を装着するなど気を付けましょう。レアステーキ、ローストビーフもやめましょう。

とりすぎがよくないビタミン?ビタミンA

 妊娠初期にビタミンAを大量にとると、赤ちゃんの形態異常が起こることがあります。ビタミンAのサプリメントは避けましょう(マルチビタミンにも注意)。ビタミンAの多く含まれるレバーやうなぎなどは頻繁に食べないようにし、 鉄分はレバー以外でとりましょう。

どの魚なら安心?水銀を含む魚は危険

 水銀は胎盤を通して赤ちゃんの中枢神経に影響します。キンメダイ、ミナミマグロ、クジラ等を食べすぎると、水銀のとり過ぎになります。1週間に1食程度までは問題がないことがわかっています。
ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、カツオ、タイ、ブリ、キハダなどは、含まれる水銀の量がとても少なく、影響ない量であるため、控える必要はありません。
 お寿司やお刺身は、食べる場合には、水銀の少ない魚を選ぶようにしましょう。


おわりに

 妊娠中は、普段よりもバランスのとれた食事を意識したり、控えなければいけない食材があったりと食事に気をつかう必要があります。仕事や上の子の育児などに追われていると自分の食事をついつい後回しにしてしまいがちですが、可能な限り気を付けていただくことで妊娠前・出産後も健康的な身体で過ごすことの助けにもなります。
ぜひ、この記事を読んでいただけた方は、少しずつで良いので食生活を意識していただけると幸いです。

 当院では、妊娠初期・中期・後期の3回、助産師の保健相談を実施しております。特に妊娠初期・中期の保健相談では、お食事に関するお話をさせていただくこともあります。お一人お一人の生活スタイルや体調に合わせて適切な食事の提案などもさせていただけますので、質問や相談があればお気軽にお声掛けください。


戸越銀座レディースクリニック診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師新居 諒子

経歴

  • 日本赤十字看護大学大学院国際保健助産学専攻 卒業
  • 都内地域周産期センター産科勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師

メッセージ

 私は卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや赤ちゃん、そのご家族のケアを実践して参りました。
周産期センターでの勤務では、妊婦さんと関わる機会は多かったですが、地域で生活する女性と関わることは少なかったので、クリニックで幅広い年代の方々のサポートができることを嬉しく感じております。
 当院に来院される皆さまが、受診後に少しでも過ごしやすくなっていただけるよう、助産師として働いていきたいと思っております。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
 都営浅草線 戸越駅 徒歩1分
 東急池上線 戸越銀座駅 徒歩4分

時間/曜日
9:15-13:00⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。

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