女性に多い 貧血について

女性に多い 貧血について

 本日は貧血についてお話していきます。女性に多いといわれる貧血ですが、そもそもなぜ女性に多いの?どうしたら改善できるの?といったところをお伝えしていきます。

知っていますか?貧血について

そもそも貧血とは

 よく聞く貧血ですが、血液中の血色素量(ヘモグロビン、Hb)濃度がなんらかの原因によって減ることで起こります。WHOの定義では、ヘモグロビンは成人女性や小児(6〜14歳)で12g/dl以下、妊婦や幼児は11g/dl以下としています。
ヘモグロビンには、肺が取り込んだ酸素にくっついて、全身に酸素を運ぶ働きがあります。そのため、ヘモグロビンが少ないと全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなり、だるさや肩こり、頭痛や動悸などの症状を引き起こします。息切れやめまいなども起こります。
平成21年の国民健康栄養調査の結果から、20〜40代の女性で鉄欠乏性貧血とされる血色素量が12g/dl未満の人が21%、貯蔵鉄や鉄欠乏の判断基準となる血清フェリチン値が25 ng/ml未満の潜在的な貧血の可能性がある人が65%と、日本人女性は鉄欠乏性貧血あるいは潜在的な貧血である可能性が高いといえます。最新の令和元年の調査では、若干改善しているものの20〜40代の女性で15%の女性が血色素量が12g/dl未満という結果になっています。

意外とたくさんあります貧血の種類

鉄欠乏性貧血

貧血のほとんどを占めます。鉄の不足により、ヘモグロビンが低下して起こります。女性に多く見られることが特徴です。妊娠中に多いのも鉄欠乏性貧血です。

再生不良性貧血

骨髄の造血幹細胞の機能不全によって、血液が産生できなくなることで起こる貧血です。

巨赤芽球性貧血

ビタミンB12または葉酸の不足により、赤血球の増殖に異常をきたして起こる貧血です。

溶血性貧血

赤血球の破壊によって起こる貧血です。


当てはまることはありませんか?貧血の原因と症状

婦人科

婦人科では子宮や卵巣に起因する疾患によって起こります。わかりやすいサインとしては月経血の量が多いことがありますが、主な疾患としては・・・

  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜症
  • 子宮頸がん
  • 子宮体がん

 上記が挙げられます。これらは自覚症状がある場合もあればわかりにくいこともあるため、貧血はあるけれども内科や消化器科での出血性疾患がないことが否定された場合や、月経血の量が多い(夜用ナプキンが昼夜問わず2~3時間でいっぱいになってしまうなど)ことや激しい月経痛がある場合、頻回に月経がくる(24日以内)場合などは婦人科を受診しましょう。また、婦人科検診は定期的に受けましょう。

産科

 妊娠中は出産時の出血に備えて循環血液量が増加します。妊娠32週ごろに非妊時の40~45%相当増加し、血液の中の成分(赤血球や血色素)も約30%増加しますが、血液中の成分よりも液体成分の増加が多いため、薄まったような状態になり貧血のようになります。最も多いのが鉄欠乏性貧血で、77~95%を占めると考えられています。妊娠中は赤ちゃんの鉄の需要によってママの体内の貯蔵鉄が減少します。そのため非妊時より鉄分を多く摂取する必要がありますが、日ごろの食事でなかなか鉄分の摂取ができないために鉄不足になりやすいことも原因と考えられています。


他にも・・・

婦人科、産科での原因が考えられない場合はほかの部分で出血している可能性があります。例えば、胃潰瘍など。症状に心当たりがある場合は病院を受診しましょう。

いろいろあります貧血の症状

貧血になると下記のような症状が現れます。
めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、顔面蒼白、倦怠感、疲労感、頭痛、眠気、集中力の低下、耳鳴り、口角炎、口内炎、味覚異常、爪が割れやすい、爪の変形、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)、氷食症(とにかく氷が食べたくなる)など
慢性的に貧血状態の方は症状を自覚しにくいことがあるため、注意が必要です。

貧血の重症度

 健康診断の結果をもらって貧血と言われたけど、私ってどのくらいの重症度なの?となっている方、以下を参考にしてみてください。

  • 軽度の貧血:Hb 10~12g/dl 食事などで鉄分を補いましょう
  • 中度の貧血:Hb 7~9g/dl 治療が必要です
  • 重度の貧血:Hb 4~6g/dl 輸血が必要です

あくまでも目安になりますので、治療に関しては医師に相談しましょう。

貧血対策

疾患を治療しましょう

貧血の原因として、婦人科疾患や消化器疾患などで出血が多い場合もあります。定期的に健康診断を受けること、体の不調があれば病院を受診し原因を確認し、適切な治療を行いましょう。治療せずに下記の対策をしても、鉄を摂取した分、出血として出て行ってしまえば根本的な解決になりません。

胃腸の働きを整えましょう

胃腸の調子が悪い時は栄養の吸収がうまくいかない(消化・吸収不良)ことがあります。婦人科疾患を治療したり、十分に鉄分を採取しても貧血の改善がうまくいかない時には消化器科を受診しましょう。また日ごろから胃腸に負担をかけるような暴飲暴食、過度の飲酒を控え、胃腸の調子を整えておくようにしましょう。

食事について

鉄分を摂取しましょう

食品に含まれる鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。
ヘム鉄は肉類、レバー、青魚に多く含まれ、体に吸収しやすい(吸収率15~20%)です。
一方非ヘム鉄は卵、貝類、豆類、緑黄色野菜、海藻類に多く含まれます(吸収率2~5%)。

たんぱく質や葉酸、ビタミンB6、B12をとりましょう

たんぱく質や葉酸、ビタミンB6,B12は赤血球やヘモグロビンの材料となる栄養素です。鶏むね肉やささみ、豆腐などの大豆製品はたんぱく質が豊富です。葉酸は緑黄色野菜や果物に多く含まれます。ビタミンB6はかつおやバナナ、B12はあさりや青魚に多く含まれます。意識して取り入れましょう。

ビタミンCや有機酸をとりましょう

ビタミンCや有機酸は非ヘム鉄を吸収しやすい形に変える助けになります。
野菜、果物などのビタミンC、酢・トマト・梅干し・ヨーグルトなどはミネラル類を吸収しやすくする働きがありますので食事に取り入れましょう。

ほかのポイント

お湯を沸かすときやみそ汁を作るときに鉄器を使用したり、鉄玉子を使用すると鉄が溶けだし補うことができます。
緑茶、コーヒー、紅茶に含まれるタンニンという成分は鉄の吸収を阻害してしまいます。食中や食後すぐは控えましょう。食後30分あけるとよいでしょう。


まとめ

 女性の一生においてどのフェーズでも貧血はつきものです。日ごろから貧血対策を行っていきましょう。

戸越銀座レディースクリニック診療案内

 戸越銀座レディースクリニックでは婦人科診療・妊婦健診を含めた産科診療の他に婦人科検診も行っております。定期的な婦人科検診による早期発見・治療が可能です。
 産婦人科の診察に怖いというイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思います。初めての方でも、女性スタッフによる声かけ・痛みの配慮・軽減・環境づくりに努めますのでぜひお気軽にお越しください。診療は日本産科婦人科学会・産婦人科専門医が行います。産婦人科に関してお悩みのある方は、ぜひご相談ください。

この産婦人科コラムを書いた人

戸越銀座レディースクリニック 助産師玉置 愛加

経歴

  • 東京都立大学健康福祉学部看護学科、助産学専攻科卒業
  • 都内地域周産期センター産科・NICU勤務

資格

  • 看護師
  • 助産師

メッセージ

 私は助産学専攻科を卒業後、地域周産期センターにて妊婦さんや産婦さん、お母さんと赤ちゃんのケアに携わってまいりました。
また、NICU・GCU病棟での経験もあり、小さく生まれた赤ちゃんや疾患を抱える赤ちゃんのケアも行ってきました。
前職場の助産師外来では妊婦健診を担当し、産後健診ではお母さんのお話をたくさん聞かせていただきました。その経験を当クリニックの助産師外来でも生かせるよう、妊娠期やお産、産後を心も体も健やかに過ごせるよう、微力ながらサポートさせていただけたらと思います。
 また、婦人科においては、安心して診察を受けていただけるように診察のサポートを努めさせていただきます。
どのようなライフステージにおいても「しんどいな、大変だな」と感じるときには、言葉にするだけでも心が軽くなることがあります。クリニックでいつでもお待ちしておりますので、ぜひお声掛けください。

戸越銀座レディースクリニックについて

 品川区戸越・戸越銀座商店街にある戸越銀座レディースクリニックは、産科・婦人科の診療・検診を行っているクリニックです。
クリニックは戸越駅徒歩1分・戸越銀座駅徒歩4分の立地にあります。エレベーターが完備されており、お買い物・お出かけのついでにお越しいただけます。プライバシーにも配慮しながら受付から診察まで女性スタッフ・女性医師が対応、診療を通して患者様が気兼ねなく、快適に過ごせるよう努めてまいります。

〒142-0041
東京都品川区戸越3-1-2 イマーレビル B1F
・アクセス
 都営浅草線 戸越駅 徒歩1分
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時間/曜日
9:15-13:00⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎
14:00-17:30⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎××
17:30-19:00×⚪︎×⚪︎×××

★ 土・日曜日は8:30-11:30
(受付終了は診療終了時間の30分前)
※日曜日は月2回不定期での診療
※祝祭日は休診となります。

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