お腹が張る、生理が重い・・・年齢のせい?疲れのせい?と思ってそのままにしていませんか?実は子宮や卵巣に出来る良性の腫瘍(できもの)が原因かもしれません。特に多いのが子宮筋腫と卵巣嚢腫です。
子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍で、女性ホルモンの影響を受けて発育します。多くの場合、無症状ですが、大きくなると以下のような症状が現れることがあります。
- 過多月経
- 不正出血
- 下腹部の圧迫感
- 頻尿や便秘
- 不妊や流産の原因
子宮筋腫の種類
筋腫の発生部位により、以下の3種類に分類されます。
- 粘膜下筋腫:子宮内膜直下にでき、少しの大きさでも出血や不妊の原因となることがある。
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉内にでき、最も一般的なタイプ。大きくなると月経量の増加や不正出血、流産や早産のトラブルになることがある。
- 漿膜下筋腫:子宮の外側に突出し、大きくなるまで症状が現れにくい。まれにねじれることで痛みを生じる。
治療法
症状の有無や腫瘍の大きさ、年齢、妊娠希望の有無などにより、治療方針が決まります。
- 経過観察:症状が軽度であれば、定期的な検査で経過を見ます
- 薬物療法:ホルモン療法やピルで症状を緩和します
- 手術療法:筋腫核出術(筋腫のみを摘出)や子宮全摘術(子宮を全て摘出)があります
卵巣のう腫とは
卵巣のう腫は、卵巣にできる袋状の腫瘍で、多くは良性です。内容物により以下の種類があります。
- 漿液性腺腫:水のような液体がたまるもの
- 粘液性腺腫:粘り気のある液体がたまるもの
- 成熟嚢胞性奇形種(皮様嚢腫):脂肪や髪の毛などが含まれるもの
- 内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞):子宮内膜症が原因で古い血液がたまるもの
卵巣のう腫の症状
小さいうちは無症状ですが、大きくなると以下のような症状が現れることがあります。
- 下腹部の膨満感や痛み
- 頻尿や便秘
- 月経異常や不正出血
- 茎捻転による急激な腹痛(緊急手術が必要な場合もあります)
検査と診断
- 内診:子宮や卵巣の大きさや形を確認
- 超音波検査:腫瘍の有無や大きさを評価
- MRI検査:詳細な画像で腫瘍の性質を判断
- 腫瘍マーカー検査:悪性の可能性を評価
治療法
症状の有無や腫瘍の大きさ、年齢、妊娠希望の有無などにより、治療方針が決まります。
- 経過観察:小さくて症状がなければ、定期的な検査で経過を見ます
- 手術療法:嚢腫摘出術(嚢腫のみを摘出)や卵巣摘出術(卵巣を全て摘出)があります
子宮筋腫・卵巣のう腫の受診する目安
子宮筋腫や卵巣のう腫は、無症状のことも多く、気づかないうちに大きくなっていることがあります。
以下のような症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
子宮筋腫の受診目安
- 月経量が多く、レバー状の塊が出ることがある
- 月経が長引く、周期が短くなっている
- 貧血(だるさ、息切れ、めまい)を感じる
- 下腹部にしこりや圧迫感がある
- 排尿回数が増えた、便秘がちになった
- 妊娠しづらい、不妊治療中に筋腫を指摘された
卵巣のう腫の受診目安
- 下腹部に違和感や張り感がある
- 急に強い腹痛が起きた(茎捻転の可能性)
- 排尿・排便がしにくい
- 月経不順や不正出血が続く
- 妊娠を希望しているが、なかなか授からない
- 健診や人間ドックで「卵巣腫瘍」と言われた
当院では、女性のライフステージに合わせた丁寧な診療を心がけております。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。